ミトロファン・ニェジェーリン

ミトロファン・イワノヴィチ・ニェジェーリン

ミトロファン・イワノヴィチ・ニェジェーリン（Митрофан Иванович Неделин、1902年7月27日 - 1960年10月24日）は、ソビエト連邦の著名な軍人であり、砲兵総元帥及び初代戦略ロケット軍の総司令官として知られています。彼はその職業生涯を通じて数々の戦争に従事し、特に砲兵部門において顕著な実績を残しました。

早年と軍歴

ニェジェーリンは、ヴォロネジ州のボリソグレブスク市に生まれ、1920年に赤軍に入隊しました。彼は兵士としてキャリアを始めた後、次第に指揮官へと昇進しました。ポーランド・ソビエト戦争やタイボフ蜂起、バスマチ運動の鎮圧に参加し、1923年からは砲兵部隊に配属されます。この時期に彼はトルケスタン戦線における軍事政治課程を修了し、その後のキャリアにおいて砲兵指揮官としての基礎を築きました。

ニェジェーリンは、1937年から39年までスペイン内戦にも参加し、戦後はソ連軍の中でさまざまな指揮官職を歴任しました。彼は特に1941年の独ソ戦においてその能力を発揮し、北カフカーズ戦線副砲兵司令官や南西戦線の砲兵司令官として重要な役割を果たしました。この功績が評価され、彼はソ連邦英雄の称号を授与されることになります。

ロケット軍の発展と事故

戦後、ニェジェーリンは砲兵の高官として、さまざまな重要ポストを歴任しました。1955年には砲兵元帥、1959年には戦略ロケット軍総司令官に任命され、ソ連の初の弾道ミサイルや中距離ミサイルの開発において重要な指導的役割を果たしました。特に、彼はそれらのミサイルの開発を監督し、その成果を先進的な技術として世に送り出しました。

しかし、彼のキャリアは突然の事故によって終わりを迎えます。1960年10月24日、バイコヌール宇宙基地においてR-16ミサイルの発射試験中に爆発事故が発生し、ニェジェーリンを含む91名以上の人々が命を落としました。この事故は「ニェジェーリンの大惨事」として知られるようになります。実験は国家機密だったため、彼の死は当初飛行機事故によるものとして処理されましたが、詳細は1990年になってから明らかにされました。

叙勲と顕彰

ニェジェーリンは、ソ連邦英雄の称号の他にも多くの勲章を受けています。特に彼は、レーニン勲章を5回、赤旗勲章を4回受賞しており、一等スヴォーロフ勲章、一等クトゥーゾフ勲章、一等ボグダン・フメリニツキー勲章、一等祖国戦争勲章、名誉記章においてもその功績が認められました。

また、彼の業績を称えるために、ミサイル追跡艦のネームシップが「マーシャル・ネデリン」と名づけられました。これは、彼の先駆的な業績や影響を記念するものであり、今もなお彼の名前は語り継がれています。彼の人生は、ソ連の軍事史における重要な一ページを形成しています。

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