ミナミヌマエビ

ミナミヌマエビの詳細

ミナミヌマエビ（学名：Neocaridina denticulata）は、淡水に生息する小型エビで、主に日本や朝鮮半島、台湾、中国に分布しています。このエビは十脚目ヌマエビ科に属し、生涯を淡水域で過ごすことから、陸封型のヌマエビと呼ばれることもあります。日本においては、静岡県焼津市以西や琵琶湖以南の本州、四国、九州で観察されることが多いですが、自然分布域外の場所にも定着した外来種が存在する点が特徴です。

特徴

体長はオスで最大20mm、メスでも30mm未満と小型であり、ヤマトヌマエビに比べてずっと小さいです。特徴的なのは、長い額角で、鋸歯状の棘が上縁に8-20個、下縁に0-9個存在することです。体の中央には白っぽい太い線が伸び、その両側には「ハ」の字型の模様が並んでいます。若い個体やオスは半透明で他のエビと見分けがつきにくいですが、メスは多様な体色を持ち、茶色や緑黒色の個体も含まれます。

生態

流れの穏やかな川や池の水草が豊富な場所に生息しており、環境の変化にも適応します。例えば、ダムなどが建設されることで他のエビの生息場所が狭まると、逆にミナミヌマエビには住みやすい環境が整います。彼らは雑食性であり、死骸や藻類、デトリタスを食べますが、生きた小動物を狙うことはありません。餌を小さくちぎるために、歩脚の鋏を利用し、口に運ぶ動作を繰り返します。

繁殖は春から夏にかけて行われ、メスは冬の間に卵巣を育て、交尾後に約38-130個の卵を産卵します。これらの卵は孵化まではメスが保護し、卵の色は最初は深緑色ですが、孵化が近づくと褐色になり幼生の姿が見えるようになります。ミナミヌマエビの幼生は2mmほどで孵化し、すぐに淡水域で成長します。寿命は約1年で、繁殖を終えた後に死ぬことが一般的です。

人間との関係

一般的に「ブツエビ」や「タエビ」とも呼ばれ、釣りの活き餌として利用されることが多いですが、アクアリウムでも観賞用やタンクメイトとして需要が高まっています。2000年代に入り、日本各地でカワリヌマエビ属の外来エビが見つかり、研究が進められています。特に、兵庫県では外来種の一つが見つかり、これが釣り餌用に輸入されたことが示唆されています。

ミナミヌマエビは、水槽内での掃除役として重宝されており、固形飼料にも群がる姿が愛らしいです。水温にも適応力があり、水面が凍る寒さでも生存可能で、適切な環境下では繁殖も行います。特に、他の小型魚と共に飼う場合には、藻類が豊富な状態を保つことが重要です。

保全状態

日本の環境省のレッドリストには現在記載されていないものの、島根県と鹿児島県では準絶滅危惧種に指定されています。また、愛媛県では存在しない種を準絶滅危惧種として指定していることなど、地域によって法的な保護が異なっています。

このように、ミナミヌマエビは日本の淡水生態系の一部として重要な存在であると同時に、アクアリウムや釣りにおいても重要な役割を果たしています。

もう一度検索