ミニットマン (ミサイル)

LGM-30 ミニットマン：アメリカ大陸間弾道ミサイルの進化と継承

LGM-30 [ミニットマン]]は、アメリカ空軍の主力大陸間弾道ミサイル]として、長年にわたり核抑止力の要を担ってきた[[戦略兵器です。その名称は、アメリカ独立戦争時の民兵組織「ミニットマン」に由来し、迅速な対応能力を象徴しています。本稿では、ミニットマンの開発経緯、技術的特徴、運用状況、そして後継ミサイル計画までを詳細に解説します。

開発の背景と技術革新

ミニットマンが登場する以前、アメリカ軍はアトラスやタイタンといった液体燃料ロケット式のICBMを運用していました。しかし、液体酸素を使用するこれらのミサイルは、発射直前の燃料注入が必要なため、即応性に課題がありました。さらに、危険性の高い液体燃料の取り扱いによる事故も発生していました。

この問題を解決するため、アメリカ軍は固体燃料ロケットエンジンを搭載したICBMの開発を推進しました。ミニットマンはその成果であり、固体燃料による高い即応性と、小型軽量化、コスト削減を実現しました。液体燃料ミサイルが全長30m、重量100t前後だったのに対し、ミニットマンは大幅な小型軽量化に成功。さらに、慣性誘導方式を採用することで、全弾同時発射も可能となりました。これは、当時のソ連のミサイル技術を大きく凌駕するものでした。

ミニットマンの各型式

ミニットマンは、I型(LGM-30A/B)、II型(LGM-30F)、そして最終型であるIII型(LGM-30G)の3つの型式で開発されました。I型は単弾頭ミサイルとして1962年に配備開始され、1965年までに800発が配備されました。II型はエンジンや誘導装置の改良により射程と精度が向上し、III型は多弾頭化(MIRV)を実現し、3個の核弾頭を同時に目標に到達させる能力を獲得しました。III型の精度向上も著しく、CEP(半数必中界)は0.4km以下にまで達しました。

運用と近代化

ミニットマンは、1960年代から1980年代にかけて戦略航空軍団(SAC)の主力兵器として運用されました。当初は1990年代の退役が予定されていましたが、後継ミサイルであるピースキーパーが国際条約により2005年に退役したため、ミニットマンIIIは現在もなお運用されています。ワイオミング州、ノースダコタ州、モンタナ州等の空軍基地のミサイルサイロに配備され、アメリカ唯一の現役地上発射ICBMとして核抑止力を維持しています。

ミニットマンIIIは、継続的な近代化改修によって、搭載核弾頭や誘導システムの更新が行われ、高い信頼性と安全性が確保されています。2020年現在も発射試験が実施されており、その信頼性は証明され続けています。

移動式配備計画

固定式のミサイルサイロは、敵の奇襲攻撃に対する脆弱性があるという懸念から、1950年代後半には移動式ミニットマン計画が検討されました。ミサイルを鉄道車両に搭載し、移動することで敵の攻撃を回避しようという試みです。しかし、この計画はケネディ大統領の支持を得られず、実現には至りませんでした。

後継ミサイル計画

ミニットマンIIIの後継として、地上配備戦略抑止力(GBSD)計画が進められています。2020年代末の初期作戦能力獲得を目指し、ノースロップ・グラマン社が開発を担当し、LGM-35 センチネルと命名されています。この計画は、アメリカ合衆国の核抑止力の未来を担う重要な取り組みです。

まとめ

LGM-30ミニットマンは、固体燃料ロケット技術の進歩と、継続的な近代化改修によって、半世紀以上にわたる運用を可能にした画期的なICBMです。その歴史と技術的進化は、冷戦期の核抑止戦略、そして現代の核安全保障を考える上で重要な意味を持っています。ミニットマンIIIの運用継続と、GBSD計画の進展は、今後のアメリカの核戦略を左右する重要な要素となるでしょう。

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