ミニテル

ミニテル（Minitel）とは

ミニテルは、フランスの電信電話総局（現Orange）が提供していたビデオテックス端末の名称です。フランス国内で広く普及し、情報端末として重要な役割を果たしました。ビデオテックスシステムとしては、世界で唯一の成功例と言えるでしょう。

サービス開始と普及

1979年末にサービスが開始され、当初はV.23モデムを利用した1200bps受信/75bps送信の通信方式で、モザイク状の図形を描画するCEPT方式を採用していました。1984年には、電話番号案内の自動化を目的として、モノクロ表示の端末が各家庭に無料で配布されました。これは紙の電話帳を廃止する代わりに提供されたもので、ミニテルの普及を大きく後押ししました。

その後、多機能な機種が有料で提供され、月額レンタルや買い切りという形式で利用できるようになりました。同時に、利用料金を電話料金と合算して徴収する「キオスク」料金システムが導入され、予約システム、オンラインショッピング、生活情報、チャットなど、多様なサービスが利用可能になりました。

また、聴覚障害者や言語障害者のための通信手段としても活用されました。しかし、出会い系サイトやわいせつ画像などの成人向けコンテンツも一定割合存在しました。1996年には、クレジットカード決済サービスに対応した高級機種も登場しました。

インターネットとの競合と終焉

1996年5月にフランステレコムがインターネットサービスプロバイダを開始し、1997年2月11日にはミニテルに電子メールサービスが追加されました。しかし、1997年8月には、当時の首相リオネル・ジョスパンがミニテルを発展的にインターネットへ統合し、廃止する方針を表明しました。2000年末には、パソコンからインターネット経由でミニテルのサービスに高速接続できるソフトウェア「i-Minitel」が発売されましたが、2012年6月30日をもってミニテルのサービスは完全に終了しました。

ミニテル端末の種類

様々な種類のミニテル端末が存在しました。以下に主な機種を挙げます。

ミニテル 1 standard: 白黒8階調表示でASCII文字のみ表示可能。
ミニテル 1 カラー: 8色カラー表示に対応。
ミニテル 1 dialogue: 通信機能が強化されたモデル。
ミニテル 1B: ASCII 80桁とCEPT1 40桁を切り替え可能。
ミニテル 2: パスワード保護機能付きで、CEPT2の拡張機能に対応。
ミニテル 10: ミニテル1に電話機能を追加。
ミニテル 10B: ミニテル1Bに電話機能を追加。
ミニテル 12: 留守番電話機能付き。
ミニテル 5: 液晶ディスプレイを備えた携帯型モデルで、ミニテル10から電話機能を省いたモデル。
ミニテル "Photo": 9600bpsに高速化され、64階調白黒JPEG画像に対応。

関連項目

キャプテンシステム：日本のビデオテックスシステム。
ガラパゴス化：独自の発展を遂げた技術や製品が、国際標準から乖離していく現象。

ミニテルは、フランスにおける情報通信技術の発展において重要な役割を果たした一方で、インターネットの普及とともにその役割を終えました。しかし、その独自性とフランス社会への影響は、今もなお語り継がれています。

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