ミネアポリス美術館

ミネアポリス美術館（ミネアポリス・インスティテュート・オブ・アート）は、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市に位置する、世界屈指の総合美術館です。8エーカーもの広大な敷地に、古代から現代までの多様な美術作品が収蔵されています。アッパー・ミッドウェスト地域最大の美術館として、その規模とコレクションの充実度において高い評価を得ています。

美術館の特徴として、まず挙げられるのはそのオープンな姿勢です。常設展は無料開放されており、来場者は世界各地の美術作品を自由に鑑賞できます。さらに、写真撮影も許可されているため、思い出を気軽に記録することができます（特別展では有料の場合もあります）。この寛容な姿勢は、多くの人々にとって魅力的なポイントとなっています。

ミネアポリス美術館の歴史は、19世紀後半にさかのぼります。急激な発展を遂げていたミネアポリスにおいて、美術に触れる機会が少ないことを憂慮した市民たちが、ミネアポリス美術協会を設立しました。1883年には最初の美術展を開催し、以後数々の展覧会を企画開催することで、地域における美術文化の発展に大きく貢献しました。

1915年には、現在の美術館本館が完成しました。アメリカ各地で数々のボザール様式建築を手掛けた著名な設計事務所、マッキム・ミード・アンド・ホワイトによって設計されたこの建物は、ミネソタ州におけるボザール様式建築の代表例として高く評価されています。建設地は、ミネアポリスの富裕層が邸宅を構えていた歴史地区であり、その中でもモリソン家の寄付によって実現しました。

その後、美術館は古代から現代までの様々な美術品を収集し続け、そのコレクションは規模と質において飛躍的に向上しました。1971年には、美術史家ベヴィス・ヒリアーが企画した『アール・デコ展』を開催。この展覧会は、長らく忘れられていたアール・デコ様式に対する再評価を促すきっかけとなり、大きな反響を呼びました。

美術館の建物は、当初はより大規模な複合施設の一部として計画されていましたが、一部のみが完成しました。その後、丹下健三氏による1974年の増築や、マイケル・グレイヴス氏による2006年の増築など、時代の変遷とともに拡張され、現在の姿となりました。

ミネアポリス美術館のコレクションは、世界各地の美術品約10万点を網羅し、その歴史は5000年以上に及びます。絵画、彫刻、版画、工芸品など、多様な分野の作品を所蔵しており、特にアジア美術コレクションは、その質と包括性の高さで高く評価されています。中国の翡翠や青銅器、陶磁器、そして日本の浮世絵3000点を含む日本美術約5000点など、貴重な作品が数多く含まれています。2013年にはクラーク日本美術・文化研究センターから約1700点の日本美術コレクションが移管され、現在では9817点もの日本美術作品を所蔵しています。

コレクションの中でも特に注目すべきは、19世紀後半から20世紀にかけて中西部で多く建てられたプレーリー建築の代表作であるパーセル＝カッツ・ハウスです。この歴史的建造物を現地で保存し、公開することで、建築史の研究と理解に貢献しています。

美術館はコレクションの展示にとどまらず、活発な活動を展開しています。「キュレートリアル・カウンシル」という組織を通じて、個人による美術収集を支援し、美術館による重要な美術品の購入を援助しています。また、常設コレクションの巡回展や、ミネソタ州の美術家を支援するプログラムにも力を入れています。

ミネアポリス美術館は、その充実したコレクション、開かれた姿勢、そして活発な活動によって、地域社会に貢献し、世界中の美術愛好家から高く評価されている美術館です。その美しい建築と貴重なコレクションは、訪れる人々に忘れられない感動を与えてくれることでしょう。

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