ミノルカ島の海戦

ミノルカ島の海戦

ミノルカ島の海戦は、1756年の七年戦争初期において重要な出来事として知られています。この海戦は5月20日に発生し、フランス海軍がイギリス海軍に対して勝利を収める結果となりました。この戦いによって、ミノルカ島はフランスの手に落ち、イギリス軍はジブラルタルへの撤退を余儀なくされました。

背景

イギリスは1713年に締結されたユトレヒト条約によって、ミノルカ島を占領し、その支配を確立しました。しかし、フランスは常にこの島に対する脅威を保持していました。1754年に始まったフレンチ・インディアン戦争の影響で、イギリスはフランスとジャコバイトの共同侵攻を懸念し、ミノルカ島の防備を十分に行うことができなくなりました。そのため、フランスは1756年にリシュリュー公の指揮のもと、イギリス軍に対して奇襲を仕掛け、ミノルカ島に上陸しました。

イギリス政府はようやくこの事態に対処することを決定し、ジョン・ビング提督が指揮する艦隊がジブラルタルから派遣されました。しかし、その準備には人員が不足しており、艦船の状態も良くありませんでした。

発端

ビング艦隊がミノルカ島近くに到着したのは5月19日のことでした。この時、島の大部分はすでにフランスの手に陥落しており、セント・フィリップ砦だけが存続していました。ビングの命令はこの砦への援軍派遣であったものの、フランスの艦隊が間もなく到着し、すぐに海戦が始まりました。

戦闘

海戦が始まると、ビングは自艦隊の12隻の戦列艦を整列させ、敵艦隊に接近しました。しかし、当時の信号通信手段は貧弱で、指示が混乱し、接近行動に時間がかかりました。このため、イギリス艦隊の一部はフランス艦隊の集中砲火を受け、早々に大きな損傷を負ってしまいました。

ビングの指揮する艦隊は、正規の戦術に従ったものの、敵に対する効果的な攻撃を行うことができず、自軍の艦船が損害を被る結果となりました。戦闘の末、イギリス艦長たちは作戦の達成が困難であるとの意見で一致し、ビングはジブラルタルに戻る決断を下しました。

その後

ミノルカ島の海戦は引き分けと見なされる一方で、ビングは要塞の救援にも失敗したとして激しい非難を浴びました。海軍本部は彼を戦時服務規程違反で訴追し、結果的にビングは軍法会議で銃殺刑を言い渡され、1757年5月14日にポーツマス港で刑が執行されました。著名な哲学者ヴォルテールは、ビングの処刑に言及し、軍の教育において提督を処刑する意義を示唆しました。

豆知識

この海戦に参加したイギリスのフリゲート艦「ドルフィン」は、後に世界を二度周航することになります。これにより、「ドルフィン」は史上初めての快挙を果たしたのです。また、戦闘に参加していた18歳の士官候補生アーサー・フィリップは、後にオーストラリアに初の植民地を築くことになります。ミノルカ島の海戦は、イギリス海軍の歴史において重要な意味を持つ事件となりました。

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