ミハイル・マッソン

ミハイル・エフゲニエヴィチ・マッソン：中央アジア考古学の先駆者

ミハイル・エフゲニエヴィチ・マッソン（1897年12月5日 - 1986年10月2日）は、サンクトペテルブルク出身の考古学者であり、中央アジア考古学研究の発展に多大な貢献をしました。彼は中央アジア考古学研究所の創設者兼教授であり、その知識と指導力で多くの研究者を育成しました。最終学位は歴史学と考古学の博士号であり、トルクメン科学アカデミーの会員でもありました。

生涯

マッソンは1897年にロシア帝国下のサンクトペテルブルクで生まれました。父エフゲニー・マッソンは、フランス革命期のジャコバン派の粛清を逃れてロシアに移住した貴族の家系でした。彼は幼少期からサマルカンドで育ち、地元の男子ギムナジウムで学びました。1908年から1909年には、ワシリー・ビャートキンが率いるウルグ・ベク天文台址の遺跡調査に参加し、考古学への関心を深めました。1916年にギムナジウムを卒業後、灌漑農業者を目指してペトログラード技術研究所に入学しましたが、第一次世界大戦への従軍を余儀なくされました。

戦後、1918年にサマルカンドに戻ったマッソンは、サマルカンドの歴史的建造物の保護・保存に関わるようになり、その後すぐにサマルカンド州立博物館の館長に就任しました。館長として、彼は考古学調査を指揮し、アフラシャブから発掘されたサーマーン朝の宮殿の遺物など、貴重な考古学的コレクションを博物館に収蔵しました。1924年にはタシュケントへ移り、中央アジア博物館考古学部の部長に就任。さらにトルキスタン東洋学研究所で教育を受け、1929年から1936年まで地質学委員会で鉱業史を研究しました。

研究内容・業績

マッソンは数多くの発掘調査を指揮し、中央アジアの考古学研究に大きく貢献しました。主な調査には以下のようなものがあります。

1936年～1938年：テルメズ考古学調査
1936年：大フェルガナ運河建設に伴う考古学調査
1946年～1968年：南トルキスタン複合考古学調査（STACE）
1963年～：タシュケント考古学調査（KAE）

これらの調査を通じて、彼は中央アジアの古代文明や文化の解明に貢献し、多くの貴重な発見をもたらしました。

家族

マッソンは二度の結婚を経験しました。最初の妻クセニヤ・イワノヴナ・マッソンは早世し、二番目の妻は中央アジア美術史研究者のガリーナ・プガチェンコワ（1915年～2007年）でした。最初の妻との間には、息子ワディム・マッソン（1929年～2010年）がおり、彼もまた著名な考古学者として活躍しました。

ミハイル・エフゲニエヴィチ・マッソンは、中央アジア考古学の発展に生涯を捧げ、多くの研究者や後進を育成しました。彼の研究は、今日でも中央アジアの歴史と文化を理解する上で重要な基盤となっています。

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