ミヒャエル・グロス

ミヒャエル・グロス（Michael Groß）は、1964年6月17日生まれのドイツ（旧西ドイツ）の元競泳選手です。1980年代を代表するスイマーの一人として、その名を世界に轟かせました。

「アルバトロス」と呼ばれた怪物

グロスは、201cmの長身と211cmのリーチという恵まれた体格を活かし、特にバタフライで圧倒的な強さを誇りました。その優雅で力強い泳ぎから、「アルバトロス」（アホウドリ）という愛称で親しまれました。マット・ビオンディ、イアン・ソープ、マイケル・フェルプスらと共に、万能型スイマーの代表格として知られています。

輝かしい競技成績

グロスは、1980年代に世界記録を4回更新し、西ドイツ代表としてオリンピックに2度、世界水泳選手権に3度出場しました。オリンピックでは合計3個の金メダル、世界水泳では合計5個の金メダルを獲得しています。

1984年ロサンゼルスオリンピック：200m自由形、100mバタフライで金メダル。200mバタフライで銀メダル、4x200mフリーリレーで銀メダル。
1988年ソウルオリンピック：200mバタフライで金メダル。

特に、1984年のロサンゼルスオリンピックでは、200m自由形を圧倒的な強さで制し、100mバタフライでは当時のオリンピック記録を塗り替える世界新記録で金メダルを獲得しました。

国民的英雄から研究者へ

グロスは、1981年に200mバタフライで世界新記録を樹立した頃から、競泳で東ドイツの攻勢に後れを取っていた西ドイツにおいて国民的英雄となりました。現役引退後は、フランクフルト大学でドイツ語、メディア学、政治学を学び、文献学のPh.D.を取得しています。また、2012年の夏季五輪に立候補したライプツィヒの招致活動に広報担当として参加するなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

人物像

グロスは、競技生活においても、その人間性が垣間見えます。例えば、ロサンゼルスオリンピック期間中、専用プールが使えない時には、地元市民に混じって公営プールで練習していたというエピソードは、彼の飾らない人柄を表しています。また、1985年のユニバーシアード神戸大会では、頭にカタカナで「ドイツ」という刈り込みを入れるなど、茶目っ気のある一面も持ち合わせていました。

引退後

1991年に現役を引退し、1995年には国際水泳殿堂入りを果たしました。現在は、家族と共に生活しながら、研究者としても活動しています。

ミヒャエル・グロスは、その卓越した才能と努力、そして魅力的な人間性によって、多くの人々に感動と勇気を与え続けています。

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