ミミカキグサ

ミミカキグサ（耳掻き草）

ミミカキグサ（学名：Utricularia bifida）は、タヌキモ科タヌキモ属に分類される多年生の食虫植物です。この植物は、同属の近縁種を含めた総称としても用いられます。湿地という特殊な環境に適応した、非常に興味深い生態を持っています。

分布

ミミカキグサは、日本においては本州以南に分布し、国外では中国、マレーシア、オーストラリアといったアジア地域に広く分布しています。生育場所は、湿地の湿った地面やごく浅い水域で、時には水田でも見られます。生育環境の悪化により、多くの都道府県でレッドリストに指定されており、その保全が重要視されています。

形態と生態

ミミカキグサは、非常に小型の植物で、開花期以外は見つけるのが困難なほどです。茎は地表近くを横に這い、小さなヘラ状の葉を地上部に展開します。この葉は薄い黄緑色で、長さは8mm程度と小さく、湿った地表に張り付くように生えています。また、地下には匍匐茎が泥や泥炭の中を伸びており、この地下茎や時には地上葉に捕虫嚢をつけます。この捕虫嚢で、ミジンコなどの小さなプランクトンを捕らえて栄養源としています。

花期は生育地の環境によって多少異なりますが、おおむね7月から9月頃です。この時期になると、高さ10cmほどの花茎を伸ばし、先端に黄色い花をつけます。花は唇形花で、基部には真下に向いた距があります。花弁の基部には上下二枚の萼片があり、花が終わった後も残り、果実を包み込みます。この姿が耳かきに似ていることが、ミミカキグサという名前の由来となっています。

近縁種

ミミカキグサの近縁種としては、以下のものがあげられます。

ヒメミミカキグサ（Utricularia nipponica）
ホザキノミミカキグサ（Utricularia caerulea）
ムラサキミミカキグサ（Utricularia uliginosa）

これらの種も、ミミカキグサと同様に湿地を好み、食虫植物としての特徴を持っています。

関連項目

食虫植物

ミミカキグサは、その小さな体ながらも独特な生態を持つ、自然界の興味深い存在です。湿地環境の保全とともに、ミミカキグサのような貴重な植物を守っていくことが重要です。

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