ミモシン

ミモシン (Mimosine) について

ミモシンは、アルカロイドの一種であり、特異なアミノ酸として知られています。その化学構造はチロシンに類似していますが、タンパク質を構成するアミノ酸とは異なり、毒性を示す点が特徴です。この化合物は、オジギソウ属やレウカエナ属といった特定の植物種に存在します。

発見と名称

ミモシンは、別名ロイセノールとも呼ばれており、ギンネムの種子から最初に単離されました。その後、アダムスらによって詳細な研究が進められました。

化学的性質

ミモシンは、融解する際に分解する性質を持っています。塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩はそれぞれ異なる温度で分解します。ミモシンは一塩基酸塩のみを形成しますが、メチルエステルは二塩酸塩を形成することができます。

• - 塩酸塩：174.5 ℃ - 175.0 ℃ で分解
• - 臭化水素酸塩：179.5 ℃ で分解
• - ヨウ化水素酸塩：183.0 ℃ - 183.5 ℃ で分解

生理作用

ミモシンは、細胞分裂の過程でG1期後期に取り込まれ、DNA複製の開始を阻害することが知られています。この作用により、細胞の増殖が抑制される可能性があります。

反芻動物への影響

反芻動物がミモシンを摂取すると、体内では3,4-ジヒドロキシピリドン（DHP）または2,3-DHPに分解されます。これらの分解産物が、動物に中毒症状を引き起こすことがあります。

ミモシン中毒の事例は、オーストラリア、パプアニューギニア、アフリカ、フロリダなどで報告されていますが、その他の熱帯・亜熱帯地域での記録は少ないです。例えば、ミャンマーのヤギは、レウカエナ属を50%含む飼料を摂取すると脱毛症状が見られました。一方で、ハワイのヤギやウシは、反芻によって3,4-DHPを分解できる能力を持っています。この耐性の違いは、腸内微生物叢の組成の違いに起因すると考えられています。具体的には、ミモシンや3,4-DHPを分解できる特定の腸内微生物の有無が、耐性の有無を決定していると考えられます。少なくとも、オーストラリアのヤギは、ハワイのヤギが持つようなミモシン分解能力を持っていないことがわかっています。

まとめ

ミモシンは、植物由来の毒性アミノ酸であり、その生理作用は細胞分裂の阻害と反芻動物における中毒症状の誘発が挙げられます。動物の種や個体差によって、ミモシンに対する耐性が異なる点も興味深い研究対象です。ミモシンに関するさらなる研究は、植物と動物の相互作用を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

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