ミヤギノハギ

ミヤギノハギ（宮城野萩）

ミヤギノハギは、マメ科ハギ属に分類される日本固有の落葉低木です。学名は Lespedeza thunbergii といい、別名リュウキュウハギとも呼ばれます。宮城県の県花としても知られ、その美しい姿は古くから多くの人々に愛されてきました。

名称の由来

ミヤギノハギの名前は、宮城県に多く自生することに由来するとされています。歌枕として有名な「宮城野」の萩にちなんで名付けられたという説や、単に美しいという意味の美称であるという説があります。歌枕の宮城野は特定の萩を指すものではなく、萩が生い茂る風景全体を指しています。

特徴

ミヤギノハギは、日本特産で、本州の東北地方、北陸地方、中国地方に分布しています。北海道から九州まで分布するという説もありますが、野生種は少なく、園芸用として広く栽培されています。起源については定かではありません。

落葉広葉樹の低木で、高さは1〜2メートル程度です。枝は細く、地面に垂れ下がるように伸びるのが特徴です。葉は3枚の小葉からなる複葉で、互い違いに生えています。小葉は楕円形で、両端が尖っています。

開花期は6〜9月で、葉の付け根から総状[[花序]]を出し、紫紅色の蝶形の花を多数咲かせます。花の長さは12〜15ミリメートルほどです。果実は10月頃に実り、長さ10ミリメートルほどの広楕円形の豆果です。

ミヤギノハギには変種や亜種が多く、白い花を咲かせるシラハギ（別名シロバナハギ）や、ケハギなどが知られています。

利用

ミヤギノハギは、古くから観賞用として親しまれてきました。細い枝にたくさんの花が咲く姿は美しく、寺の庭などにもよく植えられています。庭木として植えられたものは、冬に根元から切り戻すことで、春に新しい枝が伸びて更新されます。また、家畜の飼料としても利用されてきました。マメ科植物のため栄養価が高く、再生力も強いため、放牧地で家畜が食べてもすぐに芽を出すことが重宝されました。生育場所を選ばず、斜面や乾燥した場所でも育つため、道路の斜面などに植えられ、グラウンドカバーとしても利用されています。

文化

ミヤギノハギは、花札の絵柄に猪と一緒に描かれていることでも知られています。また、秋の七草の一つにも数えられています。秋には、その美しい花を愛でるために多くの人々が各地の名所を訪れます。

ミヤギノハギの名所としては、宮城県の萩公園、仙台市野草園、東京都亀戸の龍眼寺（通称：萩寺）、墨田区の向島百花園（萩のトンネル）、あきる野市の大悲願寺（白萩）、八王子市の長福寺などがあります。また、横須賀市の衣笠公園、長野県佐久市の園城寺、大阪府豊中市の東光院、京都の樫原廃寺跡、平安神宮の庭園、二尊院、鹿王院、光悦寺、福知山市の養泉寺（白萩）、奈良県の平城宮址、白毫寺、唐招提寺、秋篠寺、明日香村の石舞台、滋賀県長浜市の神照寺、岡山県倉敷美観地区など、各地に多くの名所が存在します。

脚注

[1] 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社、2006年、94-98頁。
[2] 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編『日本の樹木』 5巻、学習研究社、2009年、231頁。
[3] 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年、76頁。

関連項目

* ハギ

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