ミュルツツーシュラーク

ミュルツツーシュラークは、オーストリアのシュタイアーマルク州東部に位置する都市です。かつてはミュルツツーシュラーク郡の郡庁所在地であり、現在はニーダーエスターライヒ州との境界をなすゼメリング峠近く、ミュルツ川沿いに位置しています。首都ウィーンからは南西に約85キロメートル離れています。

この地域は、かつて工業地帯として発展しましたが、周辺の山々は現在では人気の高いスキーリゾートとして知られています。2016年の時点で人口は8,684人です。

歴史

ミュルツツーシュラークの歴史は古く、1227年の文書にシュタイアーマルク公国による植民の記録が残っています。13世紀には、ミンネザンクのウルリッヒ・フォン・リヒテンシュタインが、ヴェネツィアからウィーンへの旅の途中で「ムルツシュラーゲ」という町に立ち寄ったことを詩に記しています。1360年には、ハプスブルク家のルドルフ4世がレオーベンに対抗し、ミュルツツーシュラークの住民に製鉄の特権を与えています。

1854年にはゼメリング鉄道が開通し、オーストリア南部鉄道を通じてウィーンとの直通アクセスが確立されたことで、地域経済が大きく発展しました。1862年にはブレックマン製鉄所が設立され、現在はボーラー・ウッデホルム社の傘下となっています。鉄道博物館では、蒸気機関車や関連設備、車両のコレクションを見ることができます。

19世紀後半には、ゼメリング地区の山岳地帯で中欧初のアルペンスキーが行われ、オーストリア最古のスキーリゾートとして知られるようになりました。この事実はスキーとウィンタースポーツ博物館にも記録されています。ミュルツツーシュラークは1923年に都市法に基づく都市特権を獲得しました。

1931年労働者オリンピアード

1931年2月5日から8日にかけて、社会民主主義労働者スポーツインターナショナルが主催する第2回冬季労働者オリンピアードがミュルツツーシュラークで開催されました。この大会は、1932年にアメリカのレークプラシッドで開催された冬季オリンピックよりも、参加者数と観客者数において大規模であったとされています。

姉妹都市

ミュルツツーシュラークは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

アルーシャ（タンザニア）
ブランスコ（チェコ）
チヤン（チリ）

ゆかりの人物

ヴィクトル・カプラン：カプラン水車を発明した技術者・発明家。
ヨハネス・ブラームス：1884年と1885年にミュルツツーシュラークで夏を過ごし、その際に交響曲第4番を作曲しました。これを記念してブラームス記念館が設けられています。
エルフリーデ・イェリネク：2004年にノーベル文学賞を受賞した劇作家兼小説家。ミュルツツーシュラーク郡出身です。
* ジェニー・ジューゴ：女優。

ミュルツツーシュラークは、豊かな自然と歴史、そしてスポーツ文化が融合した魅力的な都市です。鉄道の歴史、スキーリゾートとしての歴史、そして文化的な背景を持ち、訪れる人々を魅了しています。

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