ミュージくん

「ミュージくん」は、ローランド株式会社が1988年から展開した、DTM（デスクトップミュージック）ソフトウェアのバンドル製品シリーズです。このシリーズは、音源モジュール（MT-32など）、MIDIインターフェース、そして「Ballade」「Singer Song Writer」「Score Grapher」といったミュージックシーケンサーソフトウェアをセットにしたものでした。

「Desk Top Music」という言葉が初めて用いられた製品としても知られており、後続のローランド製品「ミュージ郎」や、ヤマハの「HELLO!MUSIC!」など、ミュージックシーケンサーソフトと音源モジュールをセットにしたDTMバンドル製品の先駆けとなりました。

それまで楽器が演奏できず作曲を諦めていたホビー層に対し、パソコンを使った音楽制作という新たな可能性を示し、プロの音楽家からアマチュアまで、デジタル技術を活用した音楽制作の普及に大きく貢献しました。この歴史的な意義と功績が評価され、2020年には国立科学博物館の重要科学技術史資料（未来技術遺産）に登録されています。

主な製品

ミュージくん デスクトップ・ミュージック・システム（1988年発売）

音源：MT-32
MIDIインターフェース：MPU-PC98
シーケンスソフト：「ミュージくん」

ミュージくん

音源：SC-55ST-WH

ミュージくん2（1997年6月発売）

音源：SC-55K

ミュージくん88（1999年5月発売）

音源：SC-88ST
シーケンスソフト：Score Grapher Lite Ver.2
その他、音楽制作を補助するソフトウェアを同梱
「ミュージ郎」シリーズとは異なり、本格的な音楽制作よりも、パソコンでの音楽制作を楽しむことを目的とした製品

Vミュージくんシリーズ

Vミュージくん（バーチャルミュージくん）は、音源モジュールの代わりにソフトウェアシンセサイザー「Virtual Sound Canvas」（VSC）を同梱したシリーズです。

Vミュージくん（1996年9月発売）

音源：VSC-55

Vミュージくん2（1997年6月発売）

音源：VSC-88

Vミュージくん88（1999年5月発売）

音源：VSC-88
その他バンドルソフトは「ミュージくん88」と同様

Vミュージくん2000（2000年3月発売）

音源：VSC Ver.3.2
シーケンスソフト：Score Grapher Lite Ver.3

ミュージくん音楽教室

音源：VSC Ver.3.2
内容はVミュージくんシリーズとほぼ同じだが、「DTMパッケージ」というより「パソコンを使って音楽を作る」ためのセットという側面が強い
製品ページでは「DTM」という言葉を使わず、より一般向けの「コンピューター・ミュージック」という言葉を使用

関連製品

ミュージ郎：よりプロフェッショナルな音楽制作を目的とした製品シリーズ
デスクトップミュージック：パソコンを用いた音楽制作の概念
* GS：ローランドが提唱したMIDI規格

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