ミルドレッド・ピアース 幸せの代償

ミルドレッド・ピアース 幸せの代償：波乱の人生と母娘の葛藤

1941年発表のジェームズ・M・ケインによる小説「ミルドレッド・ピアース」を原作とする、2011年制作のアメリカ合衆国発テレビミニシリーズ「ミルドレッド・ピアース 幸せの代償」。世界恐慌時代のアメリカを舞台に、平凡な主婦から自立した実業家へと転身するミルドレッド・ピアースの苦悩と、娘たちとの複雑な関係を5話にわたって丁寧に描く秀作です。

ケイト・ウィンスレットが主人公ミルドレッドを熱演し、エミー賞を含む数々の賞にノミネートされ、高い評価を獲得しました。1945年のジョーン・クロフォード主演映画版とは異なり、本作は原作に忠実な描写を心がけており、ミルドレッドの複雑な内面や、時代背景による社会的な制約、そして家族との関係性をより深く掘り下げています。

物語のあらすじ:

1931年、カリフォルニア州グレンデール。ミルドレッドは、夫バート、長女ヴィーダ、次女レイと暮らしていました。しかし、バートの失業と不倫により、ミルドレッドは離婚を決意。2人の娘を養うため、彼女はウェイトレスとして働き始めます。この仕事はミルドレッドにとって屈辱的なものでしたが、娘たちには秘密にしていました。

長女ヴィーダは、母親の境遇を恥じて反発しますが、ミルドレッドはこれをバネに、自分自身のレストランを開くことを決意。元夫のビジネスパートナーで情夫でもあるウォーリーの協力を得て、レストラン「ミルドレッド」をオープンさせます。順調な経営を続ける一方で、ミルドレッドは、セレブのプレイボーイ、モンティと恋に落ちます。しかし、レイが急死するという悲劇に見舞われます。

ミルドレッドのレストランは成功を収め、彼女はビバリーヒルズやラグナビーチにも支店を展開しますが、長女ヴィーダは次第に母親を軽視し、自堕落な生活を送ります。ヴィーダの嘘の妊娠騒動をきっかけに、ミルドレッドは彼女を家から追い出します。

ヴィーダはオペラ歌手として成功への道を歩み始めますが、ミルドレッドとは疎遠なまま。しかし、ミルドレッドはモンティと結婚し、再びヴィーダと和解します。しかし、ヴィーダへの莫大な援助がミルドレッドの事業を圧迫。絶望したミルドレッドは、ヴィーダの首を絞めてしまいます。

最後にミルドレッドはバートと再婚し、レストランを信頼する従業員に譲ります。しかし、娘との関係は修復不可能なほどに崩れ去り、ミルドレッドは孤独な老後を迎えることになります。

見どころ:

ケイト・ウィンスレットの圧倒的な演技: ミルドレッドの複雑な感情を繊細かつ力強く表現した演技は必見です。
世界恐慌時代のアメリカ社会の描写: 時代背景が物語に深みを与え、ミルドレッドの生き様に共感と理解を促します。
母娘関係の複雑さ: ミルドレッドとヴィーダの関係は、愛情と葛藤が入り混じり、観る者の心を揺さぶります。
原作への忠実性: 原作小説の持つ重厚なテーマと複雑な心理描写を、映像化によって鮮やかに再現しています。


キャスト:

ミルドレッド・ピアース：ケイト・ウィンスレット
モンティ・ベラゴン：ガイ・ピアース
ヴィーダ・ピアース：モーガン・ターナー、エヴァン・レイチェル・ウッド
ルーシー・ゲスラー：メリッサ・レオ
ウォーリー・バーゲン：ジェームズ・レグロス
バート・ピアース：ブライアン・F・オバーン
* アイダ・コーウィン：メア・ウィニンガム


このミニシリーズは、一人の女性の壮絶な人生と、時代と社会の重圧、そして家族との複雑な関係を描いた、忘れがたい作品です。

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