ミレニアム (テレビドラマ)

『ミレニアム』(Millennium)は、1996年から1999年にかけてアメリカで製作・放送された、全3シーズン67話からなるサイコサスペンスドラマです。元FBI捜査官フランク・ブラックは、犯罪者の心理や記憶を読み取る特殊能力を有しており、彼を中心に組織された犯罪捜査コンサルタント組織「ミレニアム」と、フランクの元同僚らが所属するシアトル市警察が協力して、凶悪犯罪の捜査に挑みます。

本作は、聖書からの引用が非常に多く、キリスト教文化圏の視聴者には理解しやすいものの、そうでない視聴者には理解しづらい点もあるかもしれません。シーズン1では、一般的な凶悪犯罪の解決を通してフランクの活躍が描かれ、高い視聴率を獲得しました。このシーズンは、人気テレビドラマ『セブン』のテレビ版を目指して制作されたと言われています。

しかし、シーズン2は大きく様変わりします。制作総指揮のクリス・カーターが、同時期に制作していた『Xファイル』に専念したため、グレン・モーガンとジェームズ・ウォンが指揮を執りました。このシーズンでは、当時世界的に注目を集めていたオウム真理教事件のような異常犯罪を題材に、組織「ミレニアム」が新たな千年紀を目前に、聖書に基づいた独自の秩序を築こうとする秘密結社として描かれます。神秘主義的なオカルト要素が強まったこの展開に、多くの視聴者や批評家は戸惑いを隠せず、賛否両論が巻き起こりました。また、フランクの家族、特に妻キャサリンが物語の中心人物として活躍するようになり、シーズン全体を通して非常に特異な、カルト的な人気を誇るシーズンとなりました。特に最終話は異様な雰囲気に包まれています。

シーズン3ではクリス・カーターが復帰し、モーガンとウォンは制作から離れました。前シーズンの視聴者からの反応を踏まえ、カーターは作風をシーズン1のような一般的な犯罪ドラマに戻そうと試みました。しかし、この急な方向転換は視聴者から迷走と受け取られ、視聴率はシーズン2を下回ってしまいました。新キャラクターのエマ・ホリス捜査官を投入するなど、視聴率回復のための試みが行われましたが、残念ながら効果はなく、物語は未完のままシーズン3で打ち切りとなってしまいました。

ランス・ヘンリクセンやクリス・カーターは、この作品に深い愛着を抱いており、たびたび続編の製作を希望しているものの、2014年現在、実現には至っていません。

スタッフには、クリス・カーター、グレン・モーガン、ジェームズ・ウォン、マイケル・ダガン、チップ・ヨハンセンらが名を連ね、音楽はマーク・スノウが担当しました。主演のフランク・ブラック役にはランス・ヘンリクセン、妻キャサリン役にはミーガン・ギャラガー、娘ジョーダン役にはブリタニー・ティップレディといった俳優陣が起用されています。その他にも、ビル・スミトロヴィッチ、テリー・オクィン、クレア・スコットらが重要な役を演じています。

日本においては、『Xファイル』の人気に乗じて、本国放送とほぼ同時期にビデオとレンタルが開始されました。1998年からはFOXチャンネルで放送され、その後も何度か再放送されましたが、2006年以降は放送されていません。地上波では深夜に限定的な放送が行われたことがありましたが、現在は廉価版DVDボックスが発売されており、全エピソードを視聴することが可能です。なお、日本未公開エピソードは存在しません。

また、クリス・カーターが制作総指揮を務めた『Xファイル』の第7シーズンでは、『ミレニアム』の続編的なエピソードが放送されました。このエピソードでは、フランクが単独で「ミレニアム」組織の暗躍を阻止したことが示唆されています。

ドラマの制作スタッフや俳優陣によるオーディオコメンタリーによると、シーズン2で「ミレニアム」組織の描写を大きく変更したことは、必ずしも成功したとは言い切れないようです。その反省を活かし、シーズン3では犯罪捜査に重点を置いた制作が行われたとされています。

なお、『Xファイル』と『ミレニアム』には、クリス・カーターという共通の制作総指揮者以外にも、俳優や脚本家など、多くの共通点があります。例えば、レギュラー出演者のテリー・オクィンは、『Xファイル』の第2シーズン、第9シーズン、劇場版にも出演しています。

劇中に登場する犯罪捜査コンサルタント組織「ミレニアム」は、元FBI捜査官を中心とした実在の組織AGI(Academy Group Inc)をモデルにしていると言われています。

『ミレニアム』のシンボルマークであるウロボロスは、「輪廻」を象徴するモチーフとして用いられています。

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