ミール・コアモジュール

ミール・コアモジュール：宇宙ステーションの中核

ミール・コアモジュール（DOS-7）は、ソ連（後のロシア）が建設した宇宙ステーション「ミール」の最初のモジュールであり、文字通りステーションの中核を担いました。1986年2月20日にプロトンKロケットで打ち上げられ、2001年まで地球低軌道で運用されました。サリュート6号、7号をベースに設計されていますが、改良されたコンピュータや太陽電池アレイが組み込まれ、居住性が向上しています。

進化した居住空間と拡張性

コアモジュールは、居住モジュールとしての役割を重視して設計されました。以前のステーションにあった大型光学カメラを撤去し、居住空間を拡大。2人の宇宙飛行士のための個室、トイレ、娯楽設備、運動設備、医療機器などが設置され、宇宙での長期滞在をサポートしました。

特に注目すべきは、モジュール前方に追加されたマルチドッキングノードです。これにより、最大5機のモジュールを直接接続することが可能になり、ステーションの拡張性が飛躍的に向上しました。最終的には、クバント1、クバント2、クリスタル、スペクトル、プリローダの5つのモジュールが常設ドッキングし、ミールは巨大な複合施設へと発展しました。

主要な役割

コアモジュールは、以下の様な役割を担っていました。

生活空間の提供: 宇宙飛行士の居住、睡眠、食事、娯楽のためのスペースを提供しました。
ドッキングポート: 他のモジュールや宇宙船とのドッキングを可能にし、物資の補給や人員の交代を円滑に行いました。
軌道制御: エンジンを搭載し、ステーションの軌道維持や変更を行いました。
科学実験: 小さなエアロックから宇宙空間にサンプルを出すなど、科学目的にも使用されました。
司令センター: TsUP（地上管制センター）との通信を行い、ステーション全体の運用を管理しました。

仕様

型: DOS（長期軌道ステーション）
長さ: 13.13 m
直径: 4.15 m
翼長: 20.73 m（ソーラーアレイ展開時）
居住空間: 90 m3
打ち上げ重量: 20,400 kg
ドッキングポート数: 6
* 電力: 最大9-10キロワット

運用終了とその後

ミール・コアモジュールは、2001年5月に他のモジュールとともに、地上からの制御によって大気圏に再突入し、その生涯を終えました。燃え尽きなかった残骸は南太平洋に落下しました。

ミール・コアモジュールは、宇宙ステーションの可能性を広げ、その後の国際宇宙ステーション（ISS）の建設に大きな影響を与えました。居住空間の確保、モジュール化による拡張性、そして長期的な宇宙滞在の実現は、現代の宇宙開発における重要な礎となっています。

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