ムカデ人間3

ムカデ人間3：前代未聞の監獄劇と衝撃の結末

『ムカデ人間3』（原題: The Human Centipede 3 (Final Sequence)）は、2015年に公開されたトム・シックス監督によるホラー映画で、『ムカデ人間』シリーズの最終作です。前2作を遥かに超える残虐性と、皮肉を込めたユーモラスな演出が特徴的な問題作として知られています。

荒廃した監獄と暴走する所長

舞台となるのは、アメリカのとある砂漠地帯にあるジョージ・ブッシュ刑務所。この刑務所は、凶悪犯ばかりを収監する巨大な監獄で、所長のビル・ボスは絶対的な権力を握り、やりたい放題の暴政を敷いています。彼は秘書を性奴隷として扱い、囚人たちの人権を無視した虐待を繰り返すなど、極めて非道な人物として描かれています。

その結果、この刑務所は全米最悪の施設となってしまいました。職員の離職率は非常に高く、釈放された囚人の再犯率もトップクラス。暴力事件や暴動が多発し、医療費も全米一という、極めて異常な状況となっています。州知事から解雇の危機に瀕したビルは、祖父が養豚農家だった経験から、囚人を全員去勢するという奇策を思いつきます。しかし、この作戦は見事に失敗。さらに、酔いつぶれた際に囚人にレイプされるという悪夢を見てしまったビルは、ついに禁断の計画を実行することにします。

ムカデ人間計画の発動

ビルの右腕である会計士のドワイトは、熱狂的な『ムカデ人間』シリーズのファン。彼は、囚人をムカデ人間にすることで、刑務所の経営を安定させ、凶悪犯罪抑止効果も期待できると主張します。最初はバカげたアイデアだと一蹴したビルでしたが、去勢作戦の失敗と悪夢の影響で、ドワイトの提案を受け入れることに。オランダから招いたトム・シックス監督の助言と、ドワイト独自の改良案も加わり、囚人500人をムカデ人間にするという、前代未聞の計画が実行に移されるのです。

キャストと制作秘話

本作には、ディーター・ラーザー（ビル・ボス所長役）、ローレンス・R・ハーヴェイ（ドワイト役）など個性豊かな俳優陣が出演。日本語吹き替え版では、若本規夫、肝付兼太といったベテラン声優が豪華キャストを支えています。また、トム・シックス監督自身も本作に出演しているのも見どころの一つです。

さらに、日本版のテーマソングを担当したレイチェルは、その過激なストーリーに制作の難航を訴えています。神戸の元町映画館では、等身大のムカデ人間が期間限定で展示され、大きな話題となりました。また、第36回ゴールデンラズベリー賞では、最低監督賞と最低リメイク・パクリ・続編賞にノミネートされています。

映画史に残る問題作

『ムカデ人間3』は、その過激な描写とブラックユーモアによって、賛否両論を巻き起こした問題作です。しかし、その衝撃的な内容と、予想をはるかに超える展開は、多くの観客の記憶に深く刻まれました。シリーズを通して、人間の狂気と倫理観、そして映画表現の可能性について問いかける、異色のホラー映画と言えるでしょう。映画史に名を刻んだ問題作『ムカデ人間3』は、決して忘れられない作品として、人々の心に残り続けることでしょう。

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