ソブーザ2世

ソブーザ2世：スワジランドの長寿国王

ソブーザ2世（1899年7月22日 - 1982年8月21日）は、スワジランド（現エスワティニ）の第7代国王であり、その治世は80年以上に及びました。これは、彼が崩御した1982年当時、君主としての世界最長記録でした。

生涯

生い立ち

1899年、ソブーザ2世は第6代国王ヌグワネ5世の王太子として誕生しました。しかし、生後わずか4か月で父王が崩御。同年12月10日に国王として即位しましたが、成人するまでは祖母ラボツィベニ・ムドルリが摂政として国務を代行しました。彼はゾンボズェの国立学校を卒業後、南アフリカ共和国東ケープ州のラブデール研究所で研究員として働きました。

治世

1921年12月22日、ラボツィベニから国政の権限を委譲され、戴冠式を執り行いました。戴冠後、ソブーザ2世は1927年にイギリスが設定した土地収奪問題に取り組みました。イギリス国王ジョージ5世と会談し、スワジ人に土地を返還するように求め、1929年には枢密院に問題を提起しましたが、保護領法により請願は拒否されました。自治領時代のスワジ国王は儀礼的な存在でしたが、ソブーザ2世は次第に影響力を拡大していきました。

1953年にはエリザベス2世の戴冠式に出席しています。ソブーザ2世は、イギリスが提唱したウェストミンスター・システムに反対の意思を表明し、王党派のメンバーで固めたインボコドボ国民運動を結党。同党は独立後の1972年の選挙で大勝しました。

1968年9月6日にはイギリスからの独立を宣言し、イギリスから正式にスワジランド国王として承認されました。ソブーザ2世は部族の慣習を維持し、自身の持つ影響力を背景に体制の変換を図っていきました。1973年にはイギリスの指導によって制定された憲法と議会を停止し、国王親政に体制を戻しました。これによりソブーザ2世とその側近が国政全般にわたり全権を掌握し、首相以下全閣僚を国王が指名することとなりました。1978年に新憲法を制定し、各地方に議席を配分する両院制を敷いて部族を取り込みましたが、国王には議会への拒否権が付与されるなど議会の権限は限定的なものに留まりました。また、ソブーザ2世は豊富な天然資源を活用して経済成長を実現させ、白人が所有していた土地も彼の治世の下でスワジ人の管理下に置かれるようになりました。

崩御

1980年に在位80周年を迎えたソブーザ2世は、南アフリカに対してバントゥースタンの撤廃を求め、隔離されたスワジ人の解放を訴えました。1982年にムババーネで崩御。82年254日間の在位期間は古代を含む公式記録に残る中で世界最長のものとなっていますが、これに対してエジプト第6王朝のペピ2世や高句麗の太祖大王を最長記録と主張する者もいます。なお摂政時代を除いても、在位期間は60年以上にも及びます。

家族

ソブーザ2世は部族からの支持を得るために多くの女性と結婚しました。2000年の王立委員会の調査によると、ソブーザ2世は1920年から1970年にかけて70人の王妃を迎え、210人の王子・王女がいたとされています。子供の内180人が幼児期を生き延び、97人が成人になったと報告されています。また、ソブーザ2世が崩御した時点で、1,000人以上の孫がいたという記録もあります。

ソブーザ2世の崩御後、直ちに国王を選定する王室諮問評議会が開かれ、マコセティブ王子が国王に選出され、同時に摂政が選ばれることになりました。スワジランドの慣習では先王の王妃が摂政に選出されることになっていました。当初、摂政はゼリーウェ王妃が任命されましたが権力闘争によって失脚し、その後はヌトンビ王妃が摂政を務めました。マコセティブは1986年に国王に即位し、ムスワティ3世となりました。

もう一度検索