ムトト

ムトト (Mtoto) は、イギリスで競走生活を送った競走馬にして、名種牡馬としても知られています。その名はスワヒリ語で「子供」を意味します。

2歳時、1985年にデビューしたムトトは、2歳時は1戦のみの出場に終わりました。3歳になっても目立った成績は残せず、ヘイドックパーク競馬場の未勝利戦で初勝利を飾るにとどまりました。しかし、4歳となった1987年からムトトの競走成績は劇的に変化します。

まず、5月にサンダウンパーク競馬場のブリガディアジェラードステークス（G3）で優勝。これが初の重賞勝利となりました。続くプリンスオブウェールズステークス（当時G2）も制覇し、勢いに乗ってG1エクリプスステークスでも優勝、3連勝を達成しました。キングジョージ6世＆クイーンエリザベスステークスには馬場状態を考慮して出走を見送りましたが、その年の凱旋門賞にも挑戦、結果は4着に終わりました。

5歳シーズンを迎えた1988年は、準重賞で1位に入線するも、全馬コースを間違えたためレースは無効となりました。しかし、プリンスオブウェールズステークスとエクリプスステークスでは連覇を達成。さらにキングジョージ6世＆クイーンエリザベスステークスでも、スローペースのレースを追い込みで制し、連勝記録を伸ばしました。セレクトステークス（G3）も制したムトトは、凱旋門賞に再び挑戦しますが、直線で不利を受け、優勝したトニービンにクビ差及ばず2着という結果に終わりました。それでも、この年ムトトは他のレースでは負け知らずの活躍を見せました。その活躍が評価され、『ペースメイカー・インターナショナル』主催の表彰で欧州年度代表馬、古馬部門、中距離部門のタイトルを獲得するという快挙を成し遂げました。

5歳シーズンを最後に競走馬を引退したムトトは、アストンアプソープスタッドで種牡馬となりました。初年度の種付け料は18000ポンドでした。現代の主流からはかけ離れた血統背景を持っていたにもかかわらず、ムトトは多くの活躍馬を輩出しました。英ダービー優勝馬シャーミット（1993年生、牡馬）、アスコットゴールドカップ優勝馬セレリック（1992年生、せん馬）などがその代表です。これらの産駒は主に中長距離で活躍しました。しかし、G1勝ち馬であるシャーミットは、自身以外にG1勝ち馬を輩出することができず、ムトトの父系は次第に勢力を失っていきました。

ムトトは2011年、28歳でその生涯を終えました。その競走馬としての輝かしい実績と、種牡馬としての貢献は、競馬史に大きな足跡を残しています。主な産駒には、前述のシャーミットとセレリックに加え、チェヴァリーパークステークスやニアークティックステークスを制したシリアスアティテュードなども挙げられます。ムトトの血統、競走成績、そしてその生涯は、競馬ファンにとって長く語り継がれるべき物語と言えるでしょう。

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