ブリガディアジェラード

ブリガディアジェラード：伝説的名馬の生涯

ブリガディアジェラードは、アーサー・コナン・ドイルの小説の主人公にちなんで名付けられた、イギリスが生んだ国民的アイドルホースです。その華麗なる競走馬生活は、デビューからの驚異的な15連勝という金字塔によって彩られました。タイムフォーム誌の世界の名馬100選において3位に選ばれ、ブリティッシュ・チャンピオンズシリーズ名誉の殿堂にも名を連ねる、まさに伝説的な存在と言えるでしょう。

輝かしい競走馬時代

1970年、ニューベリー競馬場でのデビュー戦。勝利経験豊富なライバル馬を相手に、5番人気という下馬評を覆し、見事な追い込みで圧勝しました。その後も2歳シーズンは4戦全勝と無敗街道を突き進みますが、当時ミルリーフやマイスワローといった強豪に注目が集まっていたため、その評価は控えめなものだったようです。

翌1971年、3歳シーズンには、クラシック三冠の初戦、2000ギニーに挑みます。ミルリーフ、マイスワローといった強豪を抑え、見事勝利を収めました。ダービーへの出走は見送られましたが、セントジェームズパレスステークス、サセックスステークス、グッドウッドマイル、クイーンエリザベス2世ステークスと、芝1マイルのレースを4連勝。そして、チャンピオンステークスでも勝利を収め、シーズン6戦全勝という圧倒的な成績で終えました。この年のジョッキークラブによる3歳フリーハンデでは、2000ギニーで破ったミルリーフに次ぐ2位にランクインしました。

1972年、4歳シーズン。目標は、前年のヨーロッパ年度代表馬、ミルリーフとのエクリプスステークスでの再戦でした。しかし、ミルリーフの病気欠場により、対決は実現しませんでした。それでもブリガディアジェラードはエクリプスステークスを制し、続くキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでも勝利。このレースは彼にとって初の12ハロンのレースであり、デビュー以来の連勝を15に伸ばしました。その後、ベンソン&ヘッジズゴールドカップでは惜しくも2着となり、15連勝でストップしますが、クイーンエリザベス2世ステークスではコースレコードを更新して優勝。さらにチャンピオンステークスでも連覇を達成し、このシーズン8戦7勝という素晴らしい成績を残しました。この年のイギリス年度代表馬にも輝きました。凱旋門賞への出走も期待されましたが、実現することはありませんでした。

種牡馬時代とその後

競走馬引退後は、ニューマーケットのエジャートン牧場で種牡馬として活躍しました。100万ポンドという高額なシンジケートが結成されるなど、大きな期待が寄せられました。しかし、種牡馬としての成功は限定的で、同世代のミルリーフと比較すると見劣りする結果に終わりました。その原因として、所有者のジョン・ヒスロップが、シンジケートの株を譲渡する相手を繁殖牝馬の質ではなく、個人的な相性で選んでいたことが指摘されています。それでも、ライトカヴァルリー（セントレジャーステークス優勝）、ヴァイラーン（チャンピオンステークス優勝）といった産駒を残しました。彼の血統は、アルゼンチンで種牡馬となった産駒ジェネラルを介し、アメリカで活躍したロードアットウォー（ウォーエンブレム、パイオニアオブザナイルの母の父）へと繋がり、現在も存続しています。

1985年、受胎率の低下により種牡馬を引退。1989年10月29日、心臓麻痺により5歳でこの世を去りました。彼の偉業を称え、サンダウン競馬場ではブリガディアジェラードステークスが開催されています。

主な勝鞍

1970年：ミドルパークステークス
1971年：2000ギニーステークス、セントジェームズパレスステークス、サセックスステークス、グッドウッドマイル、クイーンエリザベス2世ステークス、チャンピオンステークス
1972年：ロッキンジステークス、プリンスオブウェールズステークス、エクリプスステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、クイーンエリザベス2世ステークス（連覇）、チャンピオンステークス（連覇）、ウエストベリーステークス

受賞

1971年：英最優秀マイラー
* 1972年：英年度代表馬

ブリガディアジェラードは、その類まれな才能と華麗な戦績で、競馬史に永遠にその名を刻む、真のレジェンドホースでした。

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