ムーンスパイラル

『ムーンスパイラル』：1990年代深夜を彩った異色のSFドラマ

『ムーンスパイラル』は、1996年5月に日本テレビの深夜番組枠『NEO HYPER KIDS』内で放送された特撮テレビドラマです。円谷プロダクションが制作を手掛け、当時話題となっていたノストラダムスの予言をストーリーの中心に据えた、異色のSFミステリーとして注目を集めました。

ストーリー

物語の舞台は1999年。ノストラダムスの予言の実現を目論む謎の組織「ムーンスパイラル」と、それに立ち向かう捜査官・八股傑作とその娘・ちひろの活躍を描きます。ヒーローが登場しない、深夜枠ならではの挑戦的な内容が特徴です。

特徴

ノストラダムスの予言: 当時、世界中で話題となっていたノストラダムスの予言をストーリーの軸に据え、SFミステリーとしての魅力を高めています。
ヒーロー不在: 従来の特撮作品とは異なり、明確なヒーローが登場しません。主人公たちは特殊な能力を持つわけではなく、知恵と勇気で困難に立ち向かいます。
深夜枠ならではの挑戦: 深夜枠という特性を活かし、従来の特撮作品とは一線を画す、大人向けのSFドラマとして制作されました。

制作の背景

本作は、『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』で脚本を務めた右田昌万氏が、日本テレビのプロデューサーに企画を提案したことがきっかけで製作されました。当時の日本テレビのスタッフも、新しいことに挑戦したいという思いが強く、この企画に積極的に関わったといいます。しかし、単独の作品では放送枠を確保できなかったため、『NEO HYPER KIDS』枠での放送となりました。

キャスト

八股傑作：宮坂ひろし
八股ちひろ：山田まりや
沢尻透：天本英世

山田まりやさんの女優デビュー作としても知られています。

スタッフ

監修：円谷一夫
企画・プロデューサー：円谷昌弘、塩谷憲昭、前田伸一郎、近貞博
脚本：岡田一八、酒井三保子、右田昌万
監督：円谷昌弘、夢野ケン、高野敏幸

評価

放送当時、その斬新な設定から「1990年代のウルトラQ」と評されました。しかし、レギュラーの悪役が登場するなど、『ウルトラQ』とは異なる独自の路線を歩んでいます。SFミステリードラマブームの中、円谷プロダクションからの回答として、新たな可能性を示唆した作品と言えるでしょう。

その後

ビデオ発売と同時に第2シーズンの放送も予定されていましたが、残念ながら実現には至りませんでした。しかし、本作品がきっかけとなり、円谷プロダクションとバップの関係が深まり、『平成ウルトラセブン』シリーズの製作へと繋がりました。

映像ソフト

1996年9月1日にバップからVHSとレーザーディスクが発売されました。

参考文献

* 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.22《ウルトラマンダイナ》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2021年5月26日。ISBN 978-4-06-520949-3

『ムーンスパイラル』は、特撮ファンのみならず、SFミステリー好きにもおすすめしたい作品です。ぜひ一度、その独特な世界観に触れてみてください。

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