メアリー・ルジェーリ

メアリー・アグネス・ルジェーリの軌跡

メアリー・アグネス・ルジェーリ（旧姓キディー）は、1921年6月12日にサンフランシスコに生を受けました。彼女は3人兄弟の末っ子として育ち、カリフォルニア大学バークレー校で心理学を学び、1943年に卒業しました。その後、ミネソタ大学大学院で児童福祉の勉強を続けていましたが、1944年、第二次世界大戦の影響を受け、アメリカ陸軍に志願しています。彼女は陸軍婦人部隊（WAC）の一員として、大戦中は国内の病院で勤務しました。

戦後、メアリーは横浜のアメリカン・スクールに赴任し、日本占領業務に加わることとなります。彼女は陸軍の輸送船であるUSAT Admiral W. S. Simsを利用し、1946年の10月から1948年の4月まで、横浜市で生活していました。この期間中、横浜を拠点に東京、鎌倉、京都、伊勢志摩、広島、長崎、仙台などを訪れ、合計4000コマ以上の写真を撮影しました。この貴重な記録は、後の彼女の著書に活かされることになります。

1948年4月30日、メアリーは戦地から帰国し、シアトルに到着。その翌日、彼女は除隊し、最終階級は技能軍曹でした。また、横浜駐留中に出会った夫フランシス・ルジェーリと結婚し、ペンシルベニア州で結婚式を挙げました。復員兵援護法（GI法）の奨学金を利用して、夫妻はピッツバーグ大学大学院で学び、1950年にはメアリーがM.S.を取得、さらにカリフォルニア州立大学スタニスラウス校で教員資格を取得しました。

その後、1956年以降はカリフォルニア州モデストに移り住み、彼女の執筆活動が始まります。1976年からは短編小説やノンフィクション、さらには絵本などを手がけるようになり、アメリカ女性作家連盟に加入し、地元の新聞にも頻繁に寄稿しました。特に2007年に出版した『From Japan with Love』は、彼女が日本占領期に撮影した約400枚の写真を掲載したもので、多くの人々の関心を集めました。

また、メアリー・ルジェーリは晩年においても日本との関わりを持ち続けました。2012年には、彼女が撮影した約1000枚の写真がデジタル化され、横浜開港資料館の協力を得て公開されることとなりました。これは、彼女にとってだけでなく、日本の歴史と文化にとっても貴重な記録となっています。

メアリーは2013年10月6日に92歳でこの世を去りましたが、彼女の作品や写真は今も多くの人々に感動を与えています。

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