メイベル・グリアーズ・トイショップ

メイベル・グリアーズ・トイショップは、1960年代後半にロンドンで結成されたプログレッシブ・ロックバンドです。後に世界的成功を収めるイエスの前身として知られています。彼らの音楽は、サイケデリック・ロックの色合いを持ちながら、アメリカン・ブルースやクラシック音楽からの影響も感じさせる、独特のアレンジと詩的な歌詞が特徴でした。

バンドの歴史

1966年、作曲家でありギタリスト、ボーカリストのクライヴ・ベイリーを中心に、ドラマーのロバート・ハガー、ベーシストのポール・ラトリッジによってバンドは結成されました。ハガーは以前、ザ・シンのオーディションでクリス・スクワイアと出会っており、ザ・シンの解散後、スクワイアはメイベル・グリアーズ・トイショップに加入しました。さらに、ザ・シンに在籍していたピーター・バンクスも合流し、バンドの音楽性はより豊かなものとなりました。

1968年初頭には、ジョン・アンダーソンがバンドに加わります。彼はソーホーのナイトクラブでスクワイアと知り合ったことがきっかけでした。メイベル・グリアーズ・トイショップは、ロンドンのマーキー、エレクトリック・ガーデン、UFOといったクラブや、ロンドン周辺の大学で精力的に演奏活動を行いました。その中で、BBCラジオのDJ、ジョン・ピールと出会い、彼の番組『トップ・ギア』と『ナイト・ライド』のためにいくつかの楽曲を録音しました。これらの音源の一部は、バンクスのコンピレーション・アルバム『The Roots of Yes』に収録されており、その中には、後にイエスのファースト・アルバムに収録される「Beyond and Before」の原型も含まれています。また、バンドはMCAレコードのプロデューサー、マイク・リアンダーとの間でデモ・レコーディング・セッションも行っています。

1968年5月、ロンドンのハイゲートで行われたギグが、メイベル・グリアーズ・トイショップとして最後のものの一つとなりました。その後、ビル・ブルーフォードがハガーの後任としてドラマーに、トニー・ケイがキーボードとして加入し、バンドは新たな段階へと進みます。バンクスの提案により、バンド名を「イエス」へと変更し、新たなスタートを切ることになりました。ベイリーは1968年後半にバンドを脱退しています。

再結成と新たな展開

2014年、メイベル・グリアーズ・トイショップは、クライヴ・ベイリー、ロバート・ハガー、ヒューゴ・バーレ、トニー・ケイ、そしてイエスのプロデューサー兼ベーシストであるビリー・シャーウッドというメンバーで再結成されました。2015年には、アルバム『New Way of Life』をリリースし、新曲に加え、ベイリーとスクワイアが1967年、1968年に書いた楽曲も収録されました。2017年12月8日には、アルバム『The Secret』がリリースされ、ピーター・バンクスのギター・ワークがフィーチャーされています。このアルバムには、彼に敬意を表して録音された「The Secret」という曲も収録されています。

ディスコグラフィ

New Way of Life (2015年)
Images (2016年) ※1967年–1968年音源のリマスター
* The Secret (2017年)

メイベル・グリアーズ・トイショップは、イエスという伝説的なバンドの原点であり、プログレッシブ・ロックの歴史において重要な役割を果たしたバンドと言えるでしょう。

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