メインランド島 (シェトランド諸島)

メインランド島（シェトランド諸島）

シェトランド諸島において最も大きく、その行政・経済・文化の中心をなすのがメインランド島、あるいはシェトランド本島（Mainland）です。イギリス最北の地域に位置するこの島は、諸島の中心都市であり、唯一バラ（自治体）の地位を持つラーウィック市を擁しています。ラーウィックは主要な港や空港を備え、島内外を結ぶ交通の要衝としての重要な機能を果たしています。

メインランド島は、ブリテン諸島内で五番目に広大な面積を誇る島です。グレートブリテン島、アイルランド島、ルイス/ハリス島、スカイ島に次ぐ規模を持ちます。また、スコットランド本土を除く島嶼部の中では、人口規模において二番目に位置しています。人口は増加傾向にあり、2001年の17,550人から2011年には18,765人となり、人口密度はおよそ19.41人/km²です。この比較的高い人口は、島の多様な社会や経済活動を支えています。

島の地理は変化に富んでおり、大まかに四つの主要な地域に区分されます。

ラーウィック市より南に広がる南部地域（サウス・メインランド）は、湿原帯（ムーア）と農耕地が混在する景観が特徴的です。この地域には、ビッグトン、サンドウィック、スカロウェイといった集落があり、特に島の最南端に近いサンバラ岬には、シェトランド諸島の主要な玄関口であるサンバラ空港が位置しています。南部はまた、多くの重要な考古学史跡が点在しており、古代から現代に至る島の歴史の深さを今に伝えています。

島の中央部（セントラル・メインランド）は、主に農地が広がり、穏やかな地形が特徴です。いくらかの疎林も見られ、南部のムーア地帯とは異なる趣があります。

島西部（ウェスト・メインランド）には、エイス、ウォールズ、サンドネスなどの集落が点在し、起伏に富んだ内陸部や複雑な海岸線が見られます。

そして、島の北部地域（ノース・メインランド）は、特にメイヴィス・グリンドと呼ばれる狭い地峡で本体と繋がる広大なノースメイヴィン半島を含み、他の地域とは一線を画す景観を持っています。この地域は人の手のあまり加わらない広大なムーアが広がり、海岸線は険しい崖が続く、より野生的で壮大な自然が特徴です。島の最高地点であるロナス・ヒル（標高450m）もこの北部に位置します。北部の自然環境は豊かで、ゼニガタアザラシやユーラシアカワウソ、そして珍しい甲殻類であるEurycercus glacialisなど、多様な野生動物が生息しています。特に、ロナス・ヒル周辺からノース・ローにかけての一帯は、重要なボグ（泥炭地）が多く存在することから、1997年にラムサール条約の登録湿地として認定されました。また、本島北部にあるサロム・ヴォーの貯油施設は、地域住民にとって重要な雇用機会を提供しており、島経済の一端を担っています。この地域には、ブレー、ノース・ロー、ヴィドリンなどの集落があります。

メインランド島は、その多様な自然環境、豊かな歴史遺産、そしてシェトランド諸島全体の中心としての機能により、この地域の地理、歴史、文化を理解する上で極めて重要な存在です。南北に長く変化に富んだ島の景観は、訪れる人々に多様な発見と体験をもたらします。

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