メカトロリンク

メカトロリンク：産業用自動化を支える通信プロトコル

メカトロリンク(MECHATROLINK)は、産業機器の自動化システムにおいて重要な役割を果たすオープンな通信プロトコルです。安川電機によって開発され、MECHATROLINK協会によって仕様が管理・維持されています。高い信頼性と柔軟性を備え、幅広い産業分野で採用されています。

メカトロリンクは、大きく分けて3つのバージョンが存在します。それぞれ異なる通信速度や接続可能な機器数などの特徴を持ち、用途に応じて最適なバージョンを選択できます。

1. MECHATROLINK-II

MECHATROLINK-IIは、RS-485というシリアル通信規格を物理層として利用するプロトコルです。最大伝送速度は10Mbit/sと、3つのバージョンの中では最も低速ですが、コストパフォーマンスに優れています。最大30台の機器を接続可能で、比較的規模の小さなシステムに適しています。RS-485はノイズに強く、長距離通信にも対応できるため、工場環境での利用に適しています。

2. MECHATROLINK-III

MECHATROLINK-IIIは、高速なイーサネットを物理層として採用しています。最大伝送速度は100Mbit/sと、MECHATROLINK-IIに比べて大幅に向上しており、より多くのデータ量を高速に伝送できます。最大62台の機器を接続可能で、高度な制御が必要なシステムにも対応できます。イーサネットの利用により、ネットワークとの統合も容易です。

3. MECHATROLINK-4

MECHATROLINK-4もイーサネットを物理層として利用し、最大伝送速度はMECHATROLINK-IIIと同じ100Mbit/sです。最大接続可能台数は127台と、MECHATROLINK-IIIよりも大幅に増加しており、大規模なシステムにも対応できます。さらに、伝送周期がMECHATROLINK-IIIの1/4に短縮されており、リアルタイム性の高い制御が必要な用途に最適です。高速なデータ転送と多くの機器接続を両立することで、高度な制御システムを実現します。

MECHATROLINK協会

MECHATROLINK協会は、メカトロリンク製品の開発メーカーやユーザーから構成される組織です。メカトロリンクの技術開発、標準化、普及活動などを行っており、会員相互の情報交換や技術サポートなども提供しています。2013年9月末時点での会員数は1729社にのぼり、メカトロリンクの普及を裏付ける大きな数字となっています。

メカトロリンクと他の通信プロトコルの比較

メカトロリンクは、EtherCAT、CC-Link、Profibusなどの他の産業用通信プロトコルと競合関係にあります。各プロトコルは、通信速度、接続台数、リアルタイム性、コストなど、さまざまな特性において違いがあります。システムの規模や要件に応じて、最適なプロトコルを選択する必要があります。例えば、リアルタイム性が特に重要なアプリケーションでは、EtherCATやCC-Linkが、コスト重視のアプリケーションではMECHATROLINK-IIが、それぞれ適していると言えるでしょう。

まとめ

メカトロリンクは、産業用自動化システムに広く採用されている信頼性の高い通信プロトコルです。3つのバージョンが存在し、それぞれ異なる特性を持つため、用途に最適なバージョンを選択できます。MECHATROLINK協会によるサポート体制も万全で、今後も産業用通信プロトコルとして重要な役割を担っていくことが期待されます。

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