メキシコ国立天文台

メキシコ国立天文台（Observatorio Astronómico Nacional）は、メキシコを代表する天文観測施設です。その歴史は1878年にまで遡り、当初はメキシコシティのチャプルテペク城内に設置されました。その後、観測環境の変化に対応するため、メキシコシティ郊外のタクバヤへと移転しました。

20世紀中盤には、都市部における光害の影響が深刻化したため、観測環境を改善すべく、プエブラ州のトナンツィントラへ再び移転することになりました。しかし、その後も光害問題が解決されなかったため、1967年に現在のバハ・カリフォルニア州、シエラサンペドロマルティル山脈の標高2830m地点に移転しました。この場所は、大気の状態が安定しており、光害の影響も少ないため、天体観測に最適な環境を提供しています。

この天文台は、メキシコ国立自治大学（Universidad Nacional Autónoma de México）によって運営されており、高度な研究活動を支えています。特徴的なのは、リッチー・クレチアン光学系を採用した複数の望遠鏡が設置されていることです。これにより、広い視野と高い解像度を両立した観測が可能となっています。

現在、天文台には以下の3基の主要な望遠鏡が稼働しています。

1.5m望遠鏡: 1970年に設置されたこの望遠鏡は、中規模の観測に利用され、様々な天体現象の研究に貢献しています。
0.84m望遠鏡: 1972年に設置されたこの望遠鏡は、より広範囲の観測や、特定の天体の詳細な観測に使用されています。
2.12m望遠鏡: 1974年から1979年にかけて建設されたこの望遠鏡は、メキシコ最大の望遠鏡であり、深宇宙の観測や、天体物理学の最先端研究に不可欠な役割を果たしています。

これらの望遠鏡群は、メキシコ国内のみならず、国際的な天文学研究においても重要な拠点となっています。メキシコ国立天文台は、その歴史の中で幾度かの移転を経験しながらも、常に最先端の観測技術を導入し、天文学の発展に貢献し続けています。

現在も、この天文台では、様々な天体現象の観測や研究が行われており、その成果は世界中の研究者に共有されています。これからも、メキシコ国立天文台は、天文学の発展に大きく貢献することが期待されています。

外部リンク

OAN SPM Official homepage
Institute of Astronomy, UNAM
UNAM

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