メッシーナ・トラム

メッシーナ・トラムは、イタリア・シチリア島の都市メッシーナを走る路面電車（ライトレール）です。2003年に開通し、メッシーナ市内を南北に結ぶ重要な交通手段となっています。運営はメッシーナ市交通公社（ATM）が行っています。

歴史

メッシーナにはかつて1917年に開通した路面電車が存在しましたが、1951年までに廃止されました。その後、1996年に新たな路面電車の建設計画が始まり、1999年から工事が開始されました。しかし、様々な要因で開通が遅れ、営業運転を開始したのは2003年4月3日でした。2009年4月には、路線の南側終点がガッツィまで延伸されています。

開業当初は順調な運行実績を上げていましたが、メッシーナ市と運営組織であるメッシーナ市交通公社の財政難により、資金不足に陥りました。その結果、多くの車両が予備部品不足により運行から離脱し、2018年にはメッシーナ市長が路面電車の廃止を提言する事態にまで発展しました。しかし、中央政府からの追加資金交付により、2024年現在も路線は維持されています。2022年からは、車両や施設の改修工事も進められています。

路線

2024年現在、メッシーナ市内には、アンヌンツィアータ地区の博物館バスターミナルとガッツィ地区のZIRバスターミナルを結ぶ、全長7.7kmの路線が存在します。全区間の所要時間は約40分で、系統名は「28号線」として運行されています。この路線名は、路面電車開業前まで同じ区間を走っていた路線バスの番号を引き継いだものです。

車両

メッシーナ・トラムでは、アルストム製の超低床電車「シティウェイ」が使用されています。この車両は、台車付きの車体と台車のないフローティング車体が連結された5車体連接車（両運転台）で、全長は約22mです。車内は床面高さ320mmの低床構造となっており、乗降が容易です。

合計15両が導入されましたが、前述の通り、予備部品不足と資金難により、多くの車両が運用から離脱する事態となりました。その後、2022年から大規模な改修工事が始まり、車体の塗装変更や電気機器の交換が行われています。しかし、2024年時点で営業運転に使用されているのは6両のみで、残りの車両は予備部品確保のために車庫に留置されています。また、改修工事に合わせて車両番号の表記も変更されています（01T - 15T→T01 - T15）。

まとめ

メッシーナ・トラムは、過去の廃止から復活を遂げた歴史を持つ路面電車です。財政的な困難を乗り越えながら、市民の足として現在も運行を続けています。今後の車両改修や路線維持に向けた取り組みが注目されます。

外部リンク

* メッシーナ市交通公社の公式ページ（イタリア語）

もう一度検索