メッツ-ウィレッツ・ポイント駅 (ロングアイランド鉄道)

メッツ-ウィレッツ・ポイント駅（ロングアイランド鉄道）

ニューヨーク市クイーンズ区に広がる広大な緑地、フラッシング・メドウズ・コロナ・パーク。その一角、ルーズベルト・アベニューに面して存在する駅が、ロングアイランド鉄道（LIRR）ポート・ワシントン支線に属するメッツ-ウィレッツ・ポイント駅です。この駅は他の多くの駅とは異なり、年間を通じて常に列車が発着するわけではなく、特定の期間や状況下でのみ旅客扱いを行う「季節駅」というユニークな形態をとっています。

この駅の歴史を遡ると、かつては「シェイ・スタジアム駅」という名称でした。これは、駅のすぐ近くに存在したシェイ・スタジアムに由来します。野球場であるシェイ・スタジアムは、長年にわたりニューヨーク・メッツの本拠地として、またニューヨーク・ジェッツ（NFLチーム）のホームスタジアムとしても利用され、多くの観客が訪れる場所でした。駅は、これら大規模なスポーツイベント開催時の観客輸送という重要な役割を担っていました。

2009年、シェイ・スタジアムに代わる新たな野球場としてシティ・フィールドが開場し、メッツの新たな本拠地となりました。これに伴い、駅名も現在のメッツ-ウィレッツ・ポイント駅へと変更されました。駅名の「メッツ」はニューヨーク・メッツに、「ウィレッツ・ポイント」は周辺地域の地名に由来しており、現在もシティ・フィールドへの最寄り駅としての性格を強く表しています。

メッツ-ウィレッツ・ポイント駅が営業を行うのは、主に以下の特定の時期に限られます。

1. ニューヨーク・メッツのホームゲーム開催時: シティ・フィールドでの公式戦が行われる日には、多くのファンが利用できるよう特別に営業されます。
2. 全米オープンテニス大会開催時: 近隣にあるUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターで開催される世界的なテニス大会期間中も、観客輸送のために営業が行われます。
3. 緊急時: 上記のイベント以外にも、予測できない緊急事態が発生した場合など、必要に応じて営業されることがあります。

このように、駅の営業は主に大規模なスポーツイベントへのアクセスを目的としており、これらのイベントがない期間は閉鎖されています。利用にあたっては、運行日や時間帯を事前に確認することが不可欠です。

利用上の特徴として、この駅では営業時に乗車する際、列車に乗る前に運賃を徴収するシステムが採用されています。これは、イベント開催時の多数の利用客のスムーズな乗降と混雑緩和を図るための措置と考えられます。また、かつてはシティチケットと呼ばれるニューヨーク市内の公共交通機関との乗り換え割引制度の対象外でしたが、2011年8月からは対象駅に含まれるようになり、市内の他の交通機関との連携が強化されました。

過去には、ラガーディア空港へのアクセス向上を目指して計画されていたエアトレイン・ラガーディアという新交通システムが、この駅に接続する構想がありました。実現すれば、駅は空港連絡駅としての役割も担うはずでしたが、残念ながらこの計画は様々な理由により進展せず、2023年には頓挫が発表されました。

なお、フラッシング・メドウズ・コロナ・パーク周辺には、ロングアイランド鉄道の駅と同名のメッツ-ウィレッツ・ポイント駅（IRTフラッシング線）が存在します。こちらはニューヨーク市地下鉄の駅であり、両駅は近接していますが、直接の乗り換え駅ではありません。利用する際は、鉄道会社（LIRRか地下鉄か）を確認することが重要です。

メッツ-ウィレッツ・ポイント駅は、ニューヨーク市における大規模イベント輸送を支える、季節限定ながらも重要な交通インフラの一つと言えるでしょう。

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