メディア・バーン・ライヴ

メディア・バーン・ライブ

『メディア・バーン・ライブ』は、1986年に行われた坂本龍一のライブツアーを基にしたアルバムで、これが彼のキャリア初のライブアルバムとなります。このアルバムは同年の9月21日にリリースされ、ツアーの模様を余すことなく収めています。

ツアーの概要

ツアーは1986年4月21日、大阪厚生年金会館での「未来派野郎」発売日当日に始まり、最終日となる6月18日の渋谷公会堂まで、全国で合計28公演が行われました。この時期の坂本はYMO（イエロー・マジック・オーケストラ）での電子音楽による演奏スタイルが広く認知されていましたが、このライブではそのイメージを覆す試みがなされました。

人間演奏への挑戦

強い意志をもってコンピュータを排除し、人間の演奏のみで構成されることを選択しました。また、『未来派野郎』からは、従来の複雑なシーケンスパターンの一部を簡略化し、サポートのキーボーディストがそれを手弾きで演奏する形式となりました。パーカッション担当のデヴィッド・ヴァン・ティーゲムは、当時1300万円とも言われる坂本のフェアライトCMIを駆使して、レコード音源の忠実な再現に挑みました。さらに、カバーできなかったサンプル音源については、AKAIのS-612という古いサンプラーを用いた5台で支援しました。

MIDI技術の利用

このツアーではヤマハの支援により、世界初のMIDIピアノが登場しました。この新しい楽器は二台常に持ち運ばれていましたが、おかげでトラブルも少なく、演奏時の指操作による事故をおさえるために機能を制限する工夫が施されました。

演奏曲目

ライブでは多様な楽曲が演奏され、その中には以下のような曲が含まれています。

• - Milan, 1909
• - Variety Show
• - Broadway Boogie Woogie
• - G.T.
• - Ballet Mécanique
• - Steppin' into Asia
• - Tibetan Dance
• - 大航海 (Verso lo schermo)
• - Instrumental (Percussion improvisation)
• - Gymnopedies
• - Die Nachtigall
• - ゴリラがバナナをくれる日
• - A Tribute to N.J.P
• - Dear Liz
• - Thatness and Thereness
• - Merry Christmas Mr. Lawrence
• - Behind the Mask
• - Sleep on My Baby
• - Field Work
• - Thousand Knives
• - Ongaku
• - 黄土高原
• - Etude
• - Self Portrait
• - Parolibre

アルバムはこれらの曲を中心に構成されており、曲順はライブでの演奏順とほぼ一致しています。リリース当初はLP2枚組で、2枚目のB面は特別に45回転に設定されていました。CDとカセットテープはそれぞれ1枚組となっています。

サポートメンバー

ツアーでは、次のようなスタッフが参加していました。

• - ボーカル：Bernard Fowler, Kysia Bostic, Linn Mabry
• - ギター：Ronnie Drayton
• - ベース：小原礼
• - パーカッション：David Van Tieghem
• - キーボード：Robby Kilgore
• - ドラム：Bernard Davis

なお、Bernard Davisは当初予定されていたドラマーの代役として、リハーサル4日目に急遽加入しました。このように、坂本龍一の「メディア・バーン・ライブ」は、革新と挑戦の精神に満ちた歴史的なイベントとなりました。その後も彼の音楽キャリアにおける大きな一歩として、楽曲とパフォーマンスの両面で影響を与え続けています。

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