メネリク2世

メネリク2世：エチオピア近代化の父

メネリク2世（1844年8月17日 - 1913年12月12日）は、ショア王国の王として生まれ、後にエチオピア帝国の皇帝として即位しました。彼の治世は、エチオピアの独立を維持しながら、西洋の技術と制度を導入し、近代化を推し進めた時代として知られています。

生涯

即位前の名はサーレ・マリアムといい、ショア王国の王子として生を受けました。エチオピア皇帝テオドロス2世によるショア攻撃の際、捕虜となりますが、テオドロス2世に才能を認められ、寵愛を受けました。この経験は、後のメネリク2世の思想に大きな影響を与えたと言われています。ヨハンネス4世の死後、皇帝の座を継承し、エチオピア帝国の発展に尽力しました。

第一次エチオピア戦争と独立維持

メネリク2世の最大の功績の一つは、第一次エチオピア戦争においてイタリア王国を打ち破り、エチオピアの独立を守り抜いたことです。当時、アフリカ大陸のほとんどがヨーロッパ列強の植民地となる中で、エチオピアは独立を維持した数少ない国の一つとなりました。この勝利は、アフリカ諸国に勇気を与え、民族自決の機運を高めることにも貢献しました。

近代化政策

メネリク2世は、エチオピアの近代化のために、西洋の技術と制度を積極的に導入しました。ベルギー、フランス、ロシアなどの列強からの資本を導入することで、特定の国家への従属を避けながら、教育、交通、金融、通信など、様々な分野で改革を進めました。

教育の近代化

首都アディスアベバにメネリク学校を設立し、英語、フランス語、イタリア語などの外国語教育を推進しました。これにより、エチオピアの若者たちが西洋の知識や技術を学び、国の発展に貢献できる人材育成を目指しました。

交通インフラの整備

道路や橋の建設を積極的に行い、国内の交通網を整備しました。1894年には、フランス資本によるジブチ・エチオピア鉄道の敷設を許可し、1901年までにジブチ-ディレ・ダワ間が開通しました。これにより、エチオピアの物流が効率化され、経済発展に貢献しました。

金融制度の確立

1904年にアビシニア銀行（後のエチオピア銀行）を設立し、貨幣制度を整備しました。これにより、エチオピアの金融システムが近代化され、経済活動が活発化しました。

通信インフラの整備

郵便制度を導入し、1908年には国際郵便連盟に加盟しました。また、鉄道沿いに電信線を敷設し、アディスアベバでは電話が開通しました。これにより、エチオピアの情報伝達能力が向上し、国内外との連携が強化されました。

その他の近代化政策

メネリク病院の建設、内閣制度の導入など、西洋の制度や文化を積極的に取り入れました。また、自動車や蓄音機など、西洋の新しい技術や製品にも関心を示し、エチオピア社会に紹介しました。

アディスアベバの建設

1887年、皇后タイトゥのために作られたエチオピア高原の避暑地を帝都と定め、「アディスアベバ」（新しい花）と名付けました。アディスアベバは、エチオピアの政治・経済・文化の中心地として発展し、現在ではアフリカ有数の大都市となっています。

晩年と崩御

1906年に脳出血を発症し、その後は皇后タイトゥが実権を握ることとなりました。1907年、皇孫のイヤス5世を後継者に指名し、1913年に崩御しました。

メネリク2世は、エチオピアの独立を守り抜き、近代化を推し進めた偉大な皇帝として、今もなおエチオピア国民から敬愛されています。彼の功績は、エチオピアの歴史において特筆すべきものであり、アフリカ全体の独立と発展にも大きな影響を与えました。

関連項目

エチオピアの国家元首の一覧

外部リンク

Ethiopian Treasures - Emperor Menelik II（英語）

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