メマツヨイグサ

メマツヨイグサ（雌待宵草）の詳細解説

メマツヨイグサ（Oenothera biennis）は、アカバナ科マツヨイグサ属に分類される二年草です。北アメリカを原産とし、日本を含む世界各地に帰化[[植物]]として分布しています。道端や荒れ地など、比較的乾燥した場所で見かけることが多い植物です。

形態と生態

メマツヨイグサは、草丈30cmから150cm程度まで成長します。茎には上向きの毛が生えており、触ると少しざらつく感触があります。同じマツヨイグサ属のオオマツヨイグサに似ていますが、メマツヨイグサの方が茎や果実の毛が柔らかく、毛の基部が赤くならない点で区別できます。

葉は先端が尖った披針形で、浅い鋸歯があります。根生葉は特に先端が尖り、葉面はあまり波打ちません。葉の主脈が赤くなることもあります。秋になると、下葉から紅[[葉]]していく様子が見られます。

花期は夏から秋にかけてで、夕方になると黄色い花を咲かせます。花径は2cmから3cm程度と、オオマツヨイグサよりもやや小さめです。花が萎れても赤くならないのが特徴です。萼片は淡い緑色をしています。

果実は細長い蒴果で、オオマツヨイグサよりもやや大きめです。

分類

メマツヨイグサは変異が多く、分類が難しい植物としても知られています。花が小さく、花弁の間に隙間があるものをアレチマツヨイグサ（Oenothera parviflora）と呼ぶこともありますが、中間的な形態のものも多く、花期によっても変化が見られるため、明確な区別は困難です。また、花径が4cmを超える大型のものや、茎に赤点が混じるオオマツヨイグサとの中間種も存在します。

分布と生育地

原産地の北アメリカのほか、ヨーロッパや南半球にも分布しています。日本には明治時代後期に渡来したと考えられています。

利用

メマツヨイグサは、古くからアメリカ原住民によって薬草として利用されてきました。植物全体を傷薬として、根を痔の治療に、葉を軽傷や消化器の不調、喉の痛みに用いたとされています。

近年では、種子から抽出される油が「月見草油（evening primrose oil）」として、健康食品や化粧品に利用されています。月見草油にはγ-リノレン酸が含まれており、湿疹、関節リウマチ、月経前症候群、更年期症状などの改善効果が期待されていますが、科学的な根拠は十分ではありません。いくつかの研究では、湿疹に対して効果がない可能性も指摘されています。かつては乳がんへの効果が期待されたこともありましたが、現在ではその有効性は否定されています。

月見草油は、ほとんどの人にとって安全であると考えられていますが、利用にあたっては医師や専門家にご相談ください。

参考文献

長田武正『原色日本帰化[[植物]]図鑑』保育社、1976年
平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社、1989年
『写真で見る外来雑草』畜産技術協会、1995年
岩瀬徹『形とくらしの雑草図鑑 : 見分ける、身近な280種』全国農村教育協会、2007年
岩瀬徹・川名興・飯島和子『校庭の雑草』（4版）全国農村教育協会、2009年
亀田龍吉、有沢重雄『花と葉で見わける野草』近田文弘監修、小学館、2010年

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