メリャ族

メリャ族：ヴォルガ川上流域に生きた古代民族

メリャ族は、中世のヴォルガ川上流域に居住していたフィン・ウゴル語族に属する部族です。彼らの歴史は、6世紀の東ローマ帝国の官僚ヨルダネスによって「Merens」として記録されたことに始まり、『原初年代記』にもその存在が記されています。

歴史

『原初年代記』によると、メリャ族はヴェシ族の隣に居住し、他のスラヴ系やフィン系の部族と同様に、ヴァリャーグ（ヴァイキング）に貢税を納めていました。彼らの居住範囲は、現在のロシア連邦におけるヤロスラヴリ州、イヴァノヴォ州、トヴェリ州東部、ヴォログダ州南部、コストロマ州西部に相当します。これらの地域は、ヴォルガ川とその支流が流れる肥沃な地であり、メリャ族は農耕や狩猟、漁撈などを通じて生活を営んでいたと考えられています。

しかし、メリャ族の独立した歴史は長くは続きませんでした。キエフ大公国が勢力を拡大するにつれて、彼らの居住地もその支配下に入り、スラヴ人の諸部族との同化が進みました。10世紀半ば以降、年代記からメリャ族の名前が消えることから、この頃までに民族としての独自性を失い、周辺のスラヴ民族に吸収されたと考えられています。

文化と社会

メリャ族の文化や社会については、詳しい記録が残っておらず、不明な点が多いのが現状です。しかし、彼らがフィン・ウゴル語族に属していたことから、言語や文化において、現在のフィンランド人やエストニア人、ハンガリー人などと共通する要素を持っていた可能性があります。また、居住地の地理的条件から、森林資源を利用した木工技術や、河川を利用した漁撈技術などが発達していたと考えられます。考古学的な発掘調査によって、メリャ族の生活様式や文化に関する新たな発見があるかもしれません。

現代への影響

メリャ族は歴史の表舞台から姿を消しましたが、彼らの存在は、現代のロシアにおける民族構成や文化にわずかながら影響を与えていると考えられます。特に、彼らが居住していた地域の方言や地名には、メリャ語に由来するものが残っている可能性があります。また、民族意識の高まりとともに、メリャ族の歴史や文化に関心を寄せる人々も現れており、研究が進められています。

まとめ

メリャ族は、中世のヴォルガ川上流域に居住したフィン・ウゴル語族の一派であり、周辺のスラヴ民族との交流を通じて次第に同化し、歴史の表舞台から姿を消しました。彼らの歴史は、現代のロシアにおける民族構成や文化を理解する上で、重要な意味を持っています。

関連項目

* メリャ語

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