メリーランド植民地

メリーランド植民地の歴史

メリーランド植民地（Province of Maryland）は、1632年から1776年まで存在したイギリス領植民地で、現在のアメリカ合衆国メリーランド州に相当します。この地域は、初代ボルティモア男爵ジョージ・カルバートが、イギリスのカトリック教徒の避難所を作るために設立しました。1632年、彼の息子である第2代ボルティモア男爵カシラス・カルバートが勅許を受け取り、植民地の設立が正式に進められました。

植民地設立の背景

ジョージ・カルバートは、カトリック教徒であったため、当時のイギリス社会での迫害から逃れることを望んでいました。彼はニューファンドランド島に入植を試みましたが、厳しい気候条件により失敗します。次にカシラスによりメリーランドに移転が決まり、成り行きからこの地域はイギリス植民地に組み込まれていきました。

メリーランド植民地は、他の植民地とは異なり、初めから宗教の自由を強く掲げた地域として知られています。しかし、設立当初から内部ではイングランド国教会とカトリック教徒、そしてクエーカーやピューリタンとの間で宗教的な対立が絶えませんでした。特に、イギリスの名誉革命の後は、プロテスタントの反乱が発生し、その結果ボルティモア家が権力を失った時期もありました。

経済と社会の発展

メリーランドの経済は、主にタバコの栽培に依存していました。初期の頃から、タバコは重要な換金作物とされ、他の農産物と共に生産されました。安価な労働力を確保するために、年季奉公制度やアフリカ人奴隷の導入が進んでいきます。特に、バージニアと同様に大規模農業が発展し、人口の40%が黒人労働者で占められる時代もありました。

社会的変化

植民地時代が進むにつれて、アフリカ人奴隷はタバコ農場の労働力の中心となり、メリーランド社会の形成に大きな影響を与えました。また、タバコ価格の変動が経済に多大な影響を与じ、混合農業の発展に繋がりました。さらに、内陸部では小麦の生産も活発化し、経済の多様化が進みました。

独立戦争への関与

1776年、メリーランド植民地はアメリカ独立の動きに積極的に参加し、重要な役割を果たしました。この年、メリーランド出身の政治家たちがアメリカ独立宣言に署名し、イギリスからの独立を目指しました。その後も、連合政府に対しての権利放棄主張により、連合規約を批准する際にも中心的な役割を果たしました。

終焉と新たな始まり

メリーランドは、独立戦争後、1788年にアメリカ合衆国憲法を承認し、正式に州としての地位を与えられました。植民地の歴史は、宗教的自由の模索から始まり、独立戦争に至るまで、さまざまな歴史的事件が積み重なっていく中で重要な役割を果たしました。この経緯を経て、メリーランド州としての歩みが始まったのです。

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