メリー・クリスマス・ショー

『メリー・クリスマス・ショー』は、1986年と1987年の12月24日に日本テレビ系列で放送された、サザンオールスターズの桑田佳祐が企画・出演した音楽番組です。この番組は、当時の音楽シーンを代表する豪華なミュージシャンたちが一堂に会し、クリスマスならではの特別な時間を届けました。

企画のきっかけと制作の裏側

この番組は、吉川晃司が桑田佳祐にアイデアを持ちかけたことから始まりました。吉川は、当時の音楽シーンの閉塞感を打破するため、桑田にミュージシャンを集結させることを提案。桑田はこれに応え、中心となって番組を企画しました。当時テレビではなかなか見られないミュージシャンが一堂に会するという画期的な試みは、大きな話題を呼びました。

制作には、クレジットされていませんが山下達郎も協力しており、番組のアイデアや楽譜の作成に貢献しました。また、この番組のために書き下ろされた楽曲「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)」は、作詞を松任谷由実、作曲を桑田佳祐、編曲をKUWATA BANDが担当するという豪華な組み合わせで制作されました。番組の最後には、出演者全員でこの曲を歌い、クリスマスの夜を盛り上げました。

この楽曲は当初、レコード化の予定はありませんでしたが、有線放送やFMラジオ放送用のプロモーションレコードとして音源化されました。その後、2012年に桑田佳祐のベスト・アルバム「I LOVE YOU -now & forever-」に、桑田が全編を歌うバージョンが初めて収録され、話題を呼びました。

豪華な出演者と番組内容

1986年の放送では、明石家さんまが司会を務め、KUWATA BAND、松任谷由実、泉谷しげる、アン・ルイス、中村雅俊、吉川晃司、ARB、鮎川誠、原由子、トミー・スナイダー、小林克也など、豪華なミュージシャンがスタジオに集結しました。また、チェッカーズ、忌野清志郎、THE ALFEE|THE_ALFEE、BOØWY、鈴木雅之など、人気アーティストがVTRで出演し、番組を盛り上げました。

1987年の放送では、明石家さんまが引き続き司会を務め、KUWATA BAND、松任谷由実、アン・ルイス、吉川晃司、小林克也、鈴木雅之、鈴木聖美、中村雅俊、Char、小泉今日子などが出演しました。VTR出演では、忌野清志郎、THE ALFEE|THE_ALFEE、米米CLUB、BARBEE BOYS|BARBEE_BOYSなど、さらに多くのアーティストが登場しました。

制作秘話と影響

番組の企画は、吉川晃司が桑田佳祐を挑発したことがきっかけでした。吉川は、音楽シーンの現状に不満を抱き、桑田に「今の音楽シーンがつまらないのは、ある意味あなた方にも責任があるんじゃないの?」と問いかけました。これに対し、桑田は当初反発しましたが、最終的には吉川の熱意に動かされ、番組の企画を考えることになったと言われています。

この番組の制作会社であるフルハウステレビプロデュース（現：ハウフルス）は、制作費が嵩んだために倒産寸前となりました。しかし、この番組が後の音楽番組に与えた影響は大きく、2003年から2008年まで放送された日本テレビの特別番組『HAPPY X'mas SHOW』など、当番組と似たコンセプトを持つ番組が制作されました。

また、2012年の映画『愛と誠』は、脚本家の宅間孝行が高校生の時にテレビで観た本番組の世界観を取り入れて脚本を書いたそうです。

2018年には、桑田佳祐と松任谷由実が『NHK紅白歌合戦』で31年ぶりに共演し、話題となりました。現在も桑田は自身のラジオでユーミンに対する尊敬の念を語ることがあり、ライブで楽曲をカバーするなど、交流が続いています。

『メリー・クリスマス・ショー』は、時代を彩った音楽と豪華な出演者、そして制作の裏側に隠された様々なエピソードが詰まった、伝説的な音楽番組として、今もなお多くの人々の記憶に残っています。

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