メルセデス・ベンツ・バネオ

メルセデス・ベンツ バネオ：短命に終わった高級コンパクトワゴン

メルセデス・ベンツのバネオは、2003年から2005年にかけて、日本と欧州市場で販売されたトールワゴンです。ダイムラー・クライスラー（現ダイムラー）が製造したこのモデルは、メルセデス・ベンツAクラス(W168)のプラットフォームをベースに開発されました。

Aクラス譲りの設計と快適な室内空間

バネオは、Aクラスと共通の設計要素を多く採用していました。サンドイッチ構造のフロアやサスペンション、インパネ、メーターパネルなどはAクラスとほぼ同じです。さらに、リアシートは取り外しが可能で、高い柔軟性を誇りました。Aクラスと比較して全高が270mm高く設計されているため、ドライビングポジションも改善され、乗員にとって快適な空間を実現していました。荷室空間もAクラスよりも大幅に拡大され、使い勝手の良さが魅力でした。

充実の装備と個性的なデザイン

バネオは、基本となる2列シート5人乗りモデルに加え、オプションで3列シートモデルも選択可能でした。日本市場では1.9L直列4気筒SOHCエンジンを搭載した「VANEO 1.9アンビエンテ」という単一グレードが販売されました。安全装備も充実しており、ブレーキアシストや盗難防止システムを標準装備。さらに、マニュアルエアコン、パワーウィンドウ、本革巻きステアリング、運転席パワーシート、ウッドパネルなども標準装備として提供されました。オプションでは本革シートやサンルーフも選択できました。

短い開発期間と販売不振

バネオの開発期間は、メルセデス・ベンツ車として最短となる3年8ヶ月でした。しかし、その販売実績は芳しくありませんでした。ルノー・カングーなどの競合車種と比較すると、バネオは高級感のある内装と充実した装備を備えていましたが、価格もそれに比例して高価でした。そのため、市場での競争力を欠き、わずか2年で生産終了という結果に終わりました。2004年には価格の見直しが行われましたが、販売状況を改善するには至りませんでした。2005年2月に生産が終了し、後継車種としてメルセデス・ベンツ・シタンが登場しました。

開発から販売終了までの歴史

1997年8月：コンパクトマルチ・パーパス・ビークルの開発開始
2001年9月：生産開始
2002年2月：IAA 2001で発表
2003年10月：発売開始
2004年7月：価格改定
2005年2月：生産終了

まとめ

メルセデス・ベンツ・バネオは、Aクラスのプラットフォームを基に開発された、高級志向のコンパクトトールワゴンでした。充実した装備と快適な室内空間を備えていましたが、価格の高さと競争の激しさから、販売面では成功を収めることができませんでした。短い販売期間にもかかわらず、その存在は、メルセデス・ベンツの歴史において独特の立ち位置を占めています。

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