メルセデス・ベンツ・W123

メルセデス・ベンツW123：堅牢性と多様性を誇る名車

メルセデス・ベンツW123は、ダイムラー・ベンツが1976年から1985年にかけて生産した中型乗用車です。W114の後継モデルとして登場し、1982年にW201、1984年にW124と、後継モデルが登場するまで長く生産されました。発売から長期間にわたって販売されたことからも、その人気と信頼性の高さがうかがえます。

圧倒的な販売実績とボディ構造

W123は、メルセデス・ベンツの中核を担う車種として、販売面でも大きな成功を収めました。1980年の販売台数は、当時人気を博していたフォルクスワーゲン・ゴルフを上回る20万台を超え、その人気を証明しています。

W123のボディ構造は、乗員空間の強化と、衝撃吸収を重視した設計が特徴です。前後のボディが衝撃を吸収する構造により、高い安全性を実現していました。また、1981年にはABSと運転席エアバッグがオプション設定され、安全性能の向上に貢献しました。助手席エアバッグはモデルチェンジ後の1987年に装備されるようになりました。

1979年と1982年にはマイナーチェンジが行われ、特に1982年のマイナーチェンジでは、ヘッドライトが丸型から角型に変更され、外観に大きな変化が加えられました。

多彩なバリエーション：セダン、クーペ、ステーションワゴン、リムジン

W123シリーズは、セダン以外にも、クーペ、リムジン、ステーションワゴンと、幅広いボディタイプがラインナップされていました。

セダン: 1976年にまず発売され、シリーズの中心となるモデルです。

[クーペ]: セダンよりもホイールベースが短く、スポーティなデザインが特徴です。2ドアピラーレスハードトップ構造で、高い剛性と安全性を両立しています。様々なエンジンバリエーションが用意され、ガソリン車に加え、ディーゼルモデルもラインナップに含まれていました。

[ステーションワゴン]: ユーザーからの強い要望に応え、メルセデス・ベンツとして初めて本格的に開発されたステーションワゴンです。「T-モデル」と呼ばれ、旅行や輸送に適した実用性を備えていました。セダンと共通のプラットフォームを採用しながら、広いラゲッジスペースと、オプションで7人乗り仕様も選択可能でした。リアサスペンションには、荷物の重量に応じて車高を自動調整するレベライザー機構が備えられていました。日本市場では、ディーゼルモデルのみが導入されました。

[リムジン]: ホイールベースを大幅に延長したモデルで、タクシーやホテルの送迎などに用いられていました。3列シートが設けられ、ゆったりとした空間を提供しました。

モータースポーツでの活躍

W123は、ラリー競技にも参戦しました。1978年からのWRC、特に過酷なサファリラリーにおいて、280Eが活躍し、高い信頼性と耐久性を証明しました。

驚異的な生産台数と輸出

W123シリーズの総生産台数は269万台以上に上り、その人気を改めて示しています。セダンが最も多く生産され、ステーションワゴン、クーペ、リムジンと続きます。生産された車両の約半数はドイツ国外に輸出され、世界中で高い評価を得ていました。

まとめ

メルセデス・ベンツW123は、堅牢なボディ、多様なバリエーション、そして高い信頼性によって、世界中で愛された名車です。長年にわたる生産期間と驚異的な販売台数は、その成功を物語っています。現在でも多くのファンに支持されており、クラシックカーとしての価値も高く評価されています。

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