メルセデス・ベンツ・W221

メルセデス・ベンツ Sクラス W221型：高級セダンの進化と歴史

メルセデス・ベンツ Sクラス W221型は、2005年から2013年にかけて生産された、同ブランドを代表する高級セダンの5代目モデルです。丸みを帯びた優雅なデザインが特徴的だった先代W220型とは異なり、W221型は力強い印象のエクステリアへと進化を遂げました。大型のフロントグリルやオーバーフェンダーがその象徴であり、ドアはW140型以来となるサッシュ式ドアを採用することで、高級感をさらに高めています。エンジンは、多くのモデルでSOHCからDOHCへと変更され、動力性能も向上しました。

デザインとインテリア：

W221型は、ホイールベースの拡大により、後席の居住性が向上しました。インテリアは、BMW 7シリーズの影響も垣間見られ、すっきりとしたデザインのセンターコンソールには、操作性の高いCOMANDシステムのダイヤルが配置されています。ボタン類を最小限に抑えることで、洗練された印象を与えています。

先進技術：

W221型には、数々の先進技術が搭載されました。その中でも特筆すべきは、以下の3点です。

ダイレクトセレクト： ステアリングホイールから手を離すことなく、シフトレバーを用いて変速操作を行うことができるシステムです。シフトアップ・ダウンに加え、駐車、後退、ニュートラル、ドライブの切り替えも可能です。
7G-TRONIC： 電子制御7速ATは、スポーツ走行、通常走行、マニュアル走行の3つのモードを選択でき、スムーズかつダイナミックな走りを実現します。ただし、V型12気筒エンジン搭載車には、5速ATが採用されています。
* 4MATIC： 4MATICはメルセデス・ベンツのフルタイム四輪駆動システムで、前輪と後輪への駆動配分は45:55です。専用の4ESP（横滑り防止装置）も備えています。日本メーカーの四輪駆動車に見られるような、助手席足元の狭さはなく、快適な車内空間を実現しています。

ハイブリッドモデル：

2009年には、メルセデス・ベンツ乗用車初のハイブリッドモデル「S400 HYBRID」が追加されました。マイルドハイブリッドシステム（ガソリンエンジン+モーター）に、世界初の量産車搭載となるリチウムイオン二次電池を採用した点が注目されました。日本市場においても、「Sクラス ハイブリッド」として導入されましたが、右ハンドル仕様は存在しませんでした。

日本市場における展開：

日本市場では、2005年10月に「S350」「S500」「S500ロング」が発売されました。その後、AMGモデルや4MATICモデル、そしてハイブリッドモデルなど、様々なグレードが追加されました。マイナーチェンジにおいては、ヘッドライトやテールライトのデザイン変更、LEDデイライトの追加、先進運転支援システムの追加などが行われています。また、限定車として「designo Limited」なども販売され、顧客の多様なニーズに応えました。

安全装備：

2011年の改良では、日本市場向けに「レーダーセーフティーパッケージ」が標準装備されました。このパッケージには、24GHz帯レーダー、BASプラス、PRE-SAFEブレーキ、アクティブブラインドスポットアシスト、ディストロニック・プラス、アクティブレーンキーピングアシストが含まれ、高い安全性を確保しています。

まとめ：

メルセデス・ベンツ Sクラス W221型は、力強いデザイン、先進のテクノロジー、そして高い安全性と快適性を兼ね備えた、まさにフラッグシップセダンと言えるモデルです。日本市場においても、その存在感は大きく、長年に渡り多くのユーザーに支持されました。 その後のW222型へのバトンタッチ後も、W221型はメルセデス・ベンツの歴史において重要なモデルとして記憶されています。

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