メンデ文字

メンデ文字：シエラレオネの伝統的文字体系

メンデ文字は、西アフリカのシエラレオネで話されているメンデ語を表記するために考案された、独特の音節文字です。20世紀初頭、イスラム学者のモハメド・トゥレによって創案され、その後、彼の弟子であるキシミ・カマラによって改良・普及が図られました。

誕生と発展

1917年、モハメド・トゥレは42文字からなるメンデ文字の原型を考案しました。この文字体系は、14の子音と3つの母音の組み合わせで構成され、同じ子音を持つ文字は共通の形状をもち、母音の違いは点の有無で区別するという、体系的な構造を持っていました。これは、子音と母音を組み合わせたアブギダの一種と言えるでしょう。特に、最初の3文字「ki, ka, ku」は、この体系の特徴を明確に示しています。

しかし、トゥレの文字体系には不足があり、彼の弟子であるキシミ・カマラは、約150文字を追加しました。カマラは、隣接するヴァイ族の地域を旅した経験があり、追加された文字の中には、ヴァイ[[文字]]の影響が見て取れるものも存在します。この追加によって、メンデ文字はより多くの音節を表現できるようになりましたが、トゥレの体系のような規則性は失われました。

メンデ文字は、主に手紙や記録として使用されました。キリスト教宣教師もメンデ文字を使用していましたが、1940年代以降、イギリスによるラテン[[文字]]表記の教育が推進されるようになり、メンデ文字の使用は次第に衰退していきました。現在、メンデ文字を書ける人は数百人程度だと推定されています。

メンデ文字の特徴

メンデ文字は、右から左へ記述されます。各文字は、子音と母音からなるCV型の音節を表し、声調は表記されません。比較的単純な音韻体系を持つメンデ語の特徴を反映していると言えるでしょう。

Unicodeへの収録

メンデ文字は、2014年のUnicodeバージョン7.0で正式に収録されました。追加多言語面（SMP）のU+1E800-1E8DFに、197文字の音節文字、数字（1～9）、および百万までの位取りを表す7文字が定義されています。これは、メンデ文字の保存と継承に大きく貢献する出来事となりました。

メンデ語とメンデ文字の現状

現在、メンデ語は主にラテン[[文字]]で表記されています。しかし、メンデ文字は、シエラレオネの文化遺産として、そしてメンデ語の歴史を理解する上で重要な役割を果たしています。Unicodeへの収録は、この伝統的な文字体系の保存と活用を促進し、将来に渡ってメンデ語と文化の繋がりを維持することに貢献するでしょう。

今後の展望

メンデ文字は、デジタル化の波に乗り、新たな活用方法が模索されています。教育現場での活用や、デジタルコンテンツへの導入などが考えられ、シエラレオネの文化を世界に発信するツールとして、更なる発展が期待されます。 メンデ文字の研究は、文字体系の進化や文化の伝承を理解する上で貴重な知見を提供し続け、その重要性はますます高まっています。

もう一度検索