モスクワ国際バレエコンクール

モスクワ国際バレエコンクール：バレエ界の登竜門

モスクワ国際バレエコンクールは、1969年、ソ連時代より始まった歴史と伝統を誇る国際的なバレエコンクールです。4年に一度、ロシアの首都モスクワで開催され、世界中から多くの才能あるダンサーたちが集結します。ロシア文化省の主催の下、バレエ大国としてのロシアの威信をかけた国家的な行事として位置付けられています。

3つの部門と審査方法

コンクールは、年齢別に分けられたジュニア部門（14歳～18歳）、シニア部門（19歳～27歳）、そして振付部門（18歳～39歳）の3部門で構成されています。プロのダンサーも参加できる点が特徴で、ヴァルナ国際バレエコンクール、ジャクソン国際バレエコンクールと並び、世界3大バレエコンクールの1つとして高く評価されています。

ジュニア、シニア部門は、映像審査を通過した参加者が3ラウンドの審査に臨みます。ソロまたはパ・ド・ドゥ（2人組）での参加が可能で、最終的な評価は個人単位で行われます。各ラウンドでは、指定された課題曲やコンクールのために特別に振付けられた作品を披露します。シニア部門の最終ラウンドでは、オーケストラの生演奏に合わせて演技を行うことが求められます。

振付部門では、ソロ作品と3人までのアンサンブル作品という2つのオリジナル作品を審査対象とします。少なくとも1作品は、ジュニアまたはシニア部門のダンサーのために振付けされたものでなければなりません。音楽や振付の内容は自由ですが、所定の時間制限が設けられています。

審査員と参加者

審査員は、世界各国から選抜されたバレエ界の第一人者たちで構成されます。2017年の審査員は17名で、ロシアをはじめ、旧ソ連諸国、日本、欧米、中国など、多様な国籍の専門家たちが参加していました。同年の参加者は、シニア部門89名、ジュニア部門56名、振付部門29名にのぼりました。

受賞と栄誉

各部門の上位3名には、金、銀、銅メダルと賞金が授与されます。さらに、シニア部門からはグランプリ受賞者が選出されることもあります。受賞者は、翌日にボリショイ劇場で開催されるガラ公演に出演する栄誉にも浴します。

日本からは、過去から現在に至るまで多くのダンサーが参加しており、金賞受賞者も輩出しています。1969年の深川秀夫氏の銀賞受賞を皮切りに、1981年の下村由理恵氏（ジュニア部門ソロ）の銀賞、1993年の岩田守弘氏（シニア部門ソロ）、2001年の倉永美沙氏（ジュニア部門ソロ）の金賞受賞など、輝かしい実績を残しています。2017年には、大川航矢氏と寺田翠氏（シニア部門デュエット）が金賞と銅賞を受賞、千野円句氏（ジュニア部門ソロ）が金賞を受賞するなど、日本のダンサーたちの活躍が目立ちました。

歴史と伝統

創設以来、モスクワ国際バレエコンクールは、数多くのスターダンサーを輩出してきた歴史をもちます。ソ連時代から続く伝統を受け継ぎ、現代においても世界最高峰のバレエコンクールの1つとして、バレエ界に大きな影響を与え続けています。その審査の厳格さ、そして受賞者の将来への輝かしい展望は、世界中のダンサーたちの憧れの的となっています。コンクールの開催は、常にバレエ界の大きな話題となり、世界中の注目を集める一大イベントです。

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