概要
[モスコビウム]](元素記号: Mc、原子番号: 115)は、合成された超重
元素であり、2003年にロシアのドゥブナにある合同原子核研究所(JINR)で初めて合成されました。これは、ロシアとアメリカの科学者たちの共同作業によって成功しました。2015年には、
国際純正・応用化学連合]によって新しい[[元素の一つとして公式に認定され、その名は
モスコビウムと名付けられました。
発見の歴史
モスコビウムの合成は、
アメリシウム243を
カルシウム48イオンと衝突させることで実施されました。この反応により、合計4つの
モスコビウム原子が生成されたと報告されていますが、これらは非常に短命で、約100ミリ秒後に崩壊します。これまでに観察された
モスコビウム原子は、質量数287から290の範囲に限られています。
ジョイントワークショップ(JWP)は、
モスコビウムの発見を確認するためのさらなる実験を行い、重い
同位体289Mcと290Mcが他の実験でも確認されるという結果に至りました。特に、289Mcはさらに別の実験で合成され、その特性が一致していることが確認されました。2015年12月、IUPACもこの発見を公式に認定し、命名権が科学者たちに与えられました。
化学的特性
モスコビウムは
周期表の第15族に属し、プニクトゲンと呼ばれるグループの一部で、
ビスマスと同じ族に位置します。
モスコビウムの外殻電子配置は7s2 7p3であり、これは他のプニクトゲンとは異なる相対論的効果を持つため、化学的性質において独特な振る舞いを示すことが予想されます。特に、7p電子のスピン軌道結合の影響から、より軽い同族
元素と異なる性質を持つと考えられています。
テオリー上では、
[モスコビウム]]は+1の酸化状態を取りやすいとされ、第1イオン化エネルギーは約5.58 eVと考えられています。また、
モスコビウム]水酸化物や炭酸塩は水に可溶ですが、塩化物や臭化物は水にほとんど溶けません。このことから、[[モスコビウムの水溶液の性質は、加水分解のしやすさや形成される錯体の特性によって大きく影響されると言えます。
核安定性
モスコビウムは、
コペルニシウムと
フレロビウムの近くに位置する安定の島に存在する可能性があると考えられています。高い融合障壁が予測されているため、これにより主にアルファ崩壊で崩壊することが示唆されています。
モスコビウムの既知の
同位体は、十分に
中性子数が多くはありませんが、重い
同位体が比較的安定な寿命を持つ可能性があります。
今後の研究
今後の研究では、
モスコビウムの合成実験や化学的性質に関する実験が進められることが予想されています。特に、
同位体の低い反応断面積や未解明の崩壊特性に関して明らかにする努力が続けられるでしょう。
モスコビウムは、化学的性質を理解するための鍵となる
元素の一つとされており、今後の発見が期待されています。