モスコー・ミュール

モスコー・ミュール：歴史と味わい、多様なバリエーション

モスコー・ミュールは、食前・食後を問わず楽しめるオールデイカクテルとして、世界中で愛されているスタンダードカクテルの一つです。「モスクワのラバ」という意味を持つその名前の由来や、独特の風味、そして数々のバリエーションについて深く掘り下げてみましょう。

名前と起源

「モスコー・ミュール」という名前は、「モスクワ」＝ウォッカ、「ミュール」＝ラバ（蹴る）という組み合わせから来ています。アルコール度数が高く、胃に刺激を与えることから「キックがある」と表現されるお酒の特徴をラバのイメージに重ねたものです。クーラーに分類されるカクテルですが、「クーラー」という名称は含まれていません。

発祥秘話

1946年、ハリウッドのバーテンダー、ジャック・モーガンが考案したという説が有力です。彼は当時、ピムス・カップというカクテルに使用するジンジャービアの在庫を抱えていました。そこで、ウォッカとジンジャービアを組み合わせたカクテルを考案したところ、予想外の人気を博しました。また、モーガンの友人が売れ残っていた銅製マグカップで提供することを提案し、モスコー・ミュールは独自のスタイルを確立しました。

別の説では、1940年代初頭にニューヨークのバーでウォッカの輸入業者とジンジャービアの生産者が出会い、共同でプロモーションのために考案されたとも言われています。さらに、当時スミノフを製造販売していたヒューブラインが、ニューヨークでの流行を全米に広めたという説も存在します。

レシピ

国際バーテンダー協会（IBA）のレシピを参考に、基本的なモスコー・ミュールの作り方をご紹介します。

材料

ウォッカ：45ml (スミノフが推奨されています)
ジンジャービア：120ml
ライムジュース：10ml

作り方

1. 銅製マグカップ（またはロックグラス）にウォッカとジンジャービアを注ぎます。
2. ライムジュースを加え、軽く混ぜ合わせます。
3. スライスしたライムを飾れば完成です。

バリエーション

モスコー・ミュールは、ベースとなるお酒や材料を変えることで、様々なバリエーションを楽しむことができます。

メキシカン・ミュール: ウォッカをテキーラに替えたもの
ジャマイカン・ミュール (スージー・テーラー): ウォッカをラムに替えたもの
マミー・テーラー: ウォッカをスコッチ・ウイスキーに替えたもの（スコッチ・ウイスキー45ml、ライムジュース15ml、ジンジャーエール適量）
マミーズ・シスター: ウォッカをジンに替えたもの
ワイルド・ミュール: ウォッカをアブサンに替えたもの

その他、ジンジャービアの代わりにジンジャーエールやジンジャーシロップを使用したり、ニンジンのジュースやアンゴスチュラビターズを加えて風味を変化させるアレンジも存在します。ラズベリーシロップやクレーム・ド・フランボワーズを加えると、フロラドラというカクテルに変化します。また、ジンジャービアの代わりにマウンテンデューを使うとモスコー・モールになります。ライムジュースをレモンジュースに変えると、ウォッカバックという別のカクテルになります。

関連カクテル

サラトガ・クーラーは、「モスコー・ミュールからウォッカを抜いた」と説明されることもあるノンアルコールカクテルです。

このように、モスコー・ミュールは様々なアレンジが可能な、奥深いカクテルです。ぜひ、お好みのバリエーションを見つけて、その魅力を堪能してみてください。

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