モッチョム岳

モッチョム岳とは

モッチョム岳は、屋久島の南部にそびえる標高944m（文献によっては940m）の花崗岩の山です。その独特な形状と頂上にある巨岩が特徴で、屋久島のシンボル的な存在として知られています。地元では、山の形が女性の秘部を連想させることから、「モッチョム」という名が付けられたと伝えられています。また、山の東西で異なる表情を見せることから、陰陽山とも呼ばれています。

地理と特徴

モッチョム岳は、屋久島南端近くに位置し、ユネスコ世界遺産区域内にあります。尾之間三山の一つとして、北方の耳岳、割石岳とともに親しまれています。南西斜面は、標高差700mにも及ぶ花崗岩の大岩壁となっており、その迫力は屋久島三大岩壁の一つに数えられています。

登山道

現在、主に利用されている登山道はタナヨケ歩道です。かつては正面登山道もありましたが、現在は廃道となっています。タナヨケ歩道は、千尋滝駐車場から始まり、万代杉やモッチョム太郎と呼ばれる屋久杉の巨木を通り過ぎます。登山道は急勾配で、岩場やロープを使う箇所もあり、体力と技術が求められます。

神山展望台と呼ばれる場所を通過し、一度下ってから山頂へ登り返すルートのため、標高差以上に体力を消耗します。山頂へは、ロープを使って大岩をよじ登る必要があります。山頂は巨岩の上にあるため、転落には注意が必要です。

登山難易度と魅力

モッチョム岳は、標高こそ高くないものの、屋久島の他の山々と比較して難易度が高いと言われています。そのため、「モッチョム岳を登ることができれば、屋久島の山は大概登ることができる」と言われることもあります。険しい登山道が特徴ですが、その分、山頂からの眺望は格別です。北側には花崗岩の岩壁が連なり、南側には太平洋が広がる絶景を楽しむことができます。

屋久杉

モッチョム岳周辺には、樹齢数百年を超える屋久杉が数多く存在します。

万代杉: タナヨケ歩道沿いの標高700m付近に位置する巨木です。発見当初は、縄文杉よりも樹齢が長いのではないかと話題になりました。
モッチョム太郎: 万代杉と同じく、タナヨケ歩道沿いの標高700m付近にあります。
モッチョム花子: 正面登山道沿いにありましたが、現在登山道は廃道となっています。

クライミング

モッチョム岳の南壁は、クライマーにとって魅力的な場所です。しかし、花崗岩の特性上、節理が少なく、クラックも少ないため、人工登攀ルートが多いのが特徴です。正長石の結晶を手がかりにすることもありますが、風化の影響を受けやすく、注意が必要です。

参考文献

太田五雄『屋久島の山岳 - 近代スポーツ登山65年の歴史と現在』八重岳書房、1993年

関連情報

* ウィキメディア・コモンズには、モッチョム岳に関連する画像や動画が多数掲載されています。

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