正長石

正長石：火成岩や変成岩を構成する重要な鉱物

正長石は、地殻を構成する主要な鉱物の一つであり、長石グループに属するケイ酸塩鉱物です。その化学組成はKAlSi3O8で表され、カリウムを多く含むことが特徴です。結晶系は単斜晶系に属し、高温で生成されたものはサニディン（ガラス長石）と呼ばれ、ややナトリウムを多く含む場合があります。

肉眼では、化学組成が同じで三斜晶系の微斜長石と区別することは困難です。両者の違いは、結晶構造の違いによるもので、精密な分析機器を用いないと判別できません。正長石は、火成岩や変成岩中に広く分布する造岩鉱物であり、花崗岩などの深成岩や、安山岩、流紋岩などの火山岩に普通に含まれています。

正長石の物理的性質

正長石は、モース硬度6という比較的硬い鉱物です。色は、無色透明から白色、ピンク色、赤色など、様々なバリエーションがあり、含まれる不純物によって色が変化します。ガラス光沢を持ち、断口は不平坦です。結晶は、板状、柱状、または塊状で産出されます。

正長石の産出と利用

正長石は、世界各地で広く産出されています。特に、花崗岩などの貫入岩体やペグマタイト鉱床から産出することが多く、工業的には、陶磁器やガラスの原料として利用されています。また、研磨材としても用いられることがあります。

正長石と競走馬

興味深いことに、正長石は競走馬の命名にも用いられています。中央競馬で活躍したGI競走2勝馬であるマリアライトの初仔は「オーソクレース」と名付けられました。オーソクレースとは正長石の英語名であり、母馬であるマリアライトの馬名（マリアライトは曹柱石の英語名から命名）と同様に、鉱物名に由来する名前が付けられています。オーソクレース自身もGI競走で2回2着に入るなど、活躍を見せています。

正長石に関する参考文献

正長石に関するより詳細な情報は、以下の文献を参照ください。

黒田吉益、諏訪兼位『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年
森本信男『造岩鉱物学』東京大学出版会、1989年
豊遙秋、青木正博『検索入門 鉱物・岩石』保育社、1996年
松原聰『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年

これらの文献では、正長石の結晶構造、化学組成、産出状況、そして岩石学的な意義などについて、より詳細な解説がなされています。正長石は、地質学研究において重要な鉱物であり、その性質を理解することは、地球科学への理解を深める上で非常に役立ちます。

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