モトス

モトス

『モトス』（Motos）は、1985年9月にナムコ（現バンダイナムコエンターテインメント）よりアーケードゲームとして登場したアクションゲームです。宇宙空間に浮かぶソーラーベースを舞台に、敵をステージから突き落とすというユニークなコンセプトが特徴です。

ストーリー

遥か未来、2XXX年。人類は宇宙空間に巨大なソーラーベースを建設し、太陽エネルギーを生活の糧としていました。しかし、ある時、ベースの制御コンピューターが故障し、ソーラーベースは軌道を外れて宇宙に散り散りになってしまいます。原因は、金属を主食とする謎の宇宙生物「スペースビー」の仕業でした。通常のビーム兵器も通用しない強敵を前に、エネルギー危機に直面した人類は、スペースビー撃退のため、新開発の装甲艇「モータースパナー」、通称「モトス」を発進させます。

ゲームシステム

本作は固定画面の面クリア型アクションゲームです。プレイヤーは自機モトスを操作し、宇宙空間に広がるソーラーベースに巣食うスペースビーを、体当たりでステージから突き落とすことが目的です。画面上の全てのスペースビーを排除すれば、次の面に進むことができます。ステージは全62面用意されています。

操作は8方向レバーで移動、ボタンでジャンプ（パーツセレクト時は決定）を行います。モトスもスペースビーも、体当たりすると反発し合います。これはまるでリアルタイムで「おはじき」をプレイしているような感覚に近いと言えるでしょう。モトスがゲームフィールドであるソーラーベースから落下するとミスとなります。

各ラウンドには、スペースビー以外にも「パワーパーツ」と「ジャンプパーツ」が存在し、これらを回収してストックすることができます。ステージ開始前に、ストックしたパーツの中から使用するものを選択可能です（パーツセレクト）。

パワーパーツ: モトスの質量を増加させ、体当たりした際にスペースビーをより遠くへ弾き飛ばす力を高め、自身が弾き飛ばされる力を弱める効果があります。最大7つまで装着できます。
ジャンプパーツ: 装備すると、そのステージ内でジャンプ操作が可能になります。ジャンプ中には着地位置をわずかに微調整することもでき、特定のパネルに着地するとヒビが入ったり（最初からヒビのあるパネルも存在）、落下消失させたりすることも可能です。これを利用してスペースビーを落とすテクニックも存在します。

一度装着したパーツは、面をクリアすると消費されます。パーツは限られた数しかないため、いかに効率良く使用・温存するかが攻略の重要な要素となります。ただし、ミスした場合は消費されず、再度パーツセレクトが可能です。

ミスした場合でも、一度落としたスペースビーは復活しません。ただし、ナビコンから排出されるピューパは例外的に初期状態から再び排出されます。また、一部のスペースビーだけを落としてからミスした場合、かえってその面の攻略が難しくなるケースも少なくありません。ナビコンから排出されるべきピューパが残っていても、ソーラーベース上の他のスペースビーがいなくなればクリアとなります。

全スペースビーを撃破しクリア条件を満たしても、画面が切り替わるまではミスの判定が有効なため、クリア直後に落下してミスとなることがあります。これはパーツを節約できないため、避けたい状況です。

標準設定ではゲームスタート時は3機から始まり、特定のスコア（1万点、3万点、以後5万点ごと）でエクステンド（残機増加）します。最終面である62面をクリアすると、残機数に応じたボーナススコアが加算され、ゲームクリアとなります。

ゲーム設定にはノーマルとハードがあり、ハードではスペースビーの質量が増加し難易度が上がります。

キャラクター

自キャラクター

モータースパナー（モトス）: プレイヤーの分身となる装甲艇。パワーパーツで質量強化、ジャンプパーツで跳躍能力を獲得します。

敵キャラクター

スペースビーはそれぞれ独自の行動パターンを持ち、これを見抜くことが攻略の鍵となります。フォーメーションを組んで通常とは異なる動きをすることもあり、面によって速さや質量も変化します。

ピューパ: 球状の小型スペースビー。レッド、ブルー、ブラックが存在し、ナビコンからも出現します。動きが予測しにくいやっかいな敵です。名前はサナギを意味する「pupa」からか。300点。
ポーラ: 中心部が赤い黒丸型のスペースビー。フォーメーションの中心になることが多いです。「polar」（極）が由来か。800点。
スパイラス: 虫型スペースビー。Z字状の軌道を描きます。クモを意味する「spider」と螺旋の「spiral」からの造語か。1,000点。
ファイヤー・バグ: 大きな赤い眼を持つ虫型スペースビー。高速で移動します。ホタルがモチーフ。1,300点。
ファイヤー・ビー: 羽根のような体を持つ虫型スペースビー。高速かつ直線的な動きをしますが、突然静止する独特の行動をとります。ハチがモチーフ。1,500点。
タイトリアン: 銀色の四角いスペースビー。比較的速く、プレイヤーを狙います。社名が由来か。2,000点。
レディ・バグ: 黒丸型で青い眼のスペースビー。高速で衝突後、角度を変えて突入する動きが特徴。テントウムシがモチーフ。2,500点。
ビートル: 黄色のラインが入った黒丸型のスペースビー。回転しながら高速で衝突します。カブトムシなど甲虫がモチーフ。3,000点。
メガ: 巨大スペースビー。動きは遅めですが、速い個体も存在します。社名が由来か。3,500点。
ギガ: メガよりもさらに巨大なスペースビー。「メガより大きい」ことから命名されたか。5,000点。

その他のキャラクター

ビーコン: ゲームフィールド上の障害物。特に何もしませんが、落下させるとスコアになります。1,000点。
ナビコン: ソーラーベースのコンピューターですが、スペースビーに侵食されています。ピューパを排出するものがあり、一部は特定の条件で破壊可能です。破壊すると高得点（50,000点）が得られます。
流星: 時間経過でプレイヤーを狙って落下します。直接ダメージはありませんが、着弾地点のパネルを消失させます。これによりステージが狭まるため、同じ場所にとどまれません。

テクニック

ゲームを有利に進めるための様々なテクニックが存在します。

ワープジャンプ: フィールドが画面端までつながっている場合、ジャンプで画面外に出て反対側から現れることができます。
ジャンプ落とし: フィールド端で敵を誘い込み、ジャンプで回避してその背後への着地と同時に弾き飛ばして落とす方法。少ないパワーパーツで大型敵を落とすのに有効です。
もろとも落とし（座布団落とし）: ジャンプ時のパネル落下判定を利用して、意図的にフィールドに穴を開けて敵を落とす方法。特に大型敵に有効ですが、フィールドが狭まるリスクがあります。
座標ずらし: 直線的に向かってくる敵に対し、斜めに当たりながら少しずつ位置をずらして押し出すことで、少ないパワーで押し勝つ方法。
ナビコン封印: ナビコンからピューパが排出される地点のパネルを事前に破壊しておくことで、出現・排出と同時にピューパを落下させる方法。
空中ジャンプ: ジャンプパーツ装備時、パネルの有無に関わらずタイミングさえ合えばジャンプできるテクニック。
斜めパネル渡り: 通常困難な斜めに接続されたパネルへの移動を、敵に弾かれる反動を利用して行う方法。

余談・関連情報

MOTOSの由来: 開発チームのメンバーの頭文字から名付けられたという説があります。
面数: 当時のナムコゲームのパターン数の中間をとって62面になったという説が雑誌に掲載されたことがありますが、企画者本人によって否定されています。
BGM: ネームエントリー中にレバーを入れっぱなしにすることで、時間切れにならずBGMを聞き続けられる裏技があります。
移植版: X68000、ナムコミュージアムシリーズ（PlayStation、PSP、Xbox 360）、Windows（ナムコヒストリーなど）、携帯電話、iOS、そしてアーケードアーカイブス（PS4、Nintendo Switch）など、様々なプラットフォームに移植されています。また、アレンジ版として『パックモトス』が『みんなで遊ぼう!ナムコカーニバル』や『PAC-MAN MUSEUM+』に収録されています。
その他: 『太鼓の達人』シリーズには、本作のBGMをシンフォニックアレンジした楽曲「シンフォニック モトス」が収録されています。

独特の体当たりアクションと戦略性の高いゲームシステムで、今なお根強いファンを持つ一作です。

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