モノフルオロ酢酸ナトリウム

モノフルオロ酢酸ナトリウムについて

モノフルオロ酢酸ナトリウム、またの名を1080（TEN EIGHTY）は、モノフルオロ酢酸のナトリウム塩です。この物質は白色の粉末で、吸湿性を持ち、日本法では特定毒物として位置付けられています。

用途と毒性

モノフルオロ酢酸ナトリウムは、特に殺鼠剤として広く利用されています。日本では1950年に野ねずみ駆除のための農薬として登録されて以来、田畑や山林において毒餌として使用されています。また、倉庫などでは水溶液としても利用されています。ニュージーランドではフクロギツネ（ポッサム）の駆除に、北米ではコヨーテ駆除に使われることが多いです。

この化合物の使用は世界中で行われており、オーストラリア、メキシコ、イスラエルなどでも認められています。オーストラリアではその危険性が指摘されることもあります。

誤飲を防ぐために、モノフルオロ酢酸ナトリウムは赤色に着色され、またトウガラシチンキやトウガラシ末が加えられることが法的に義務付けられています。毒性についてはLD50がラットで0.22mg/kg、ヒトでは2-10mg程度と非常に強力です。中毒の症状には過興奮、嘔吐、筋痙攣、呼吸抑制、心不全などが見られ、毒性の働きは主にクエン酸回路の阻害に由来します。

日本では、モノフルオロ酢酸とその誘導体は「毒物及び劇物取締法」により規制されており、製造や使用、所持には厳しい法律が適用されています。

歴史

モノフルオロ酢酸ナトリウムは、第二次世界大戦中にドイツの化学者によって発見され、その後アメリカでも同時期に確認されたとされています。

自然界における存在

この化合物は自然界にも存在します。例えば、オーストラリアやブラジル、アフリカにはモノフルオロ酢酸塩を含む植物が少なくとも40種類確認されており、その一例としてオーストラリアに生育する毒マメ（ガスストロビウム）が挙げられます。また、チャの葉からも微量ながらモノフルオロ酢酸が検出されることがあります。

モノフルオロ酢酸ナトリウムは、その強い毒性と多様な使用法、さらには自然界での存在から、多くの分野で注意深く扱われるべき物質です。

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