トウガラシ

トウガラシ（唐辛子）

トウガラシ（唐辛子、蕃椒、学名: Capsicum annuum）は、ナス科トウガラシ属の多年草（温帯では一年草として扱われる）であり、その果実は世界中で香辛料や野菜として広く利用されています。メキシコが原産地であり、その歴史は古く、紀元前から栽培されてきました。

名称の由来

和名「トウガラシ」は、「唐（外国）から伝わった辛子」という意味合いを持ちますが、必ずしも中国経由であることを示唆するものではありません。別名として、「ナンバン」、「コウライコショウ」、「ナンバンコショウ」などがあります。「ナンバン」という異名は、16世紀に南蛮船によってポルトガル人が日本に伝えたことに由来すると言われています。

トウガラシの種類

植物種としてのトウガラシには、辛味のある辛味種と辛味のない甘味種が存在します。一般的に「トウガラシ」と呼ばれるのは辛味種であり、ピーマンやパプリカ、シシトウガラシなどは甘味種に分類されます。

辛味種: 香辛料として使用される小果種（鷹の爪など）
甘味種:
ピーマン：果肉が薄く甘味があるベル形の中果種
パプリカ：甘味があり果肉が厚い大果種
シシトウガラシ：辛味のない小果種

各国での呼び名

英語：chili pepper
フランス語：piment commum
イタリア語：peperoncino
中国語：辣椒（làjiāo）

特徴

トウガラシは温帯では一年草、熱帯では多年草として栽培されます。草丈は70〜80cm程度で、茎は多数に枝分かれし、白い花を咲かせます。果実は緑色から赤色に熟し、品種によっては黄色や紫色になるものもあります。

トウガラシの辛味成分であるカプサイシンは、種子の付く胎座に最も多く含まれています。甘い品種と辛い品種を交配すると、辛い品種の性質が強く出る場合があるため、栽培の際には注意が必要です。

歴史

トウガラシは中南米が原産であり、メキシコでは紀元前6500〜5000年頃から栽培されていたと考えられています。コロンブスによってヨーロッパに持ち込まれ、その後、シルクロードを経てアジアに伝わりました。日本には16世紀頃に伝来し、江戸時代から広く栽培されるようになりました。

品種

トウガラシには非常に多くの品種が存在し、辛味種（ホットペッパー）と甘味種（スイートペッパー）に大別されます。

辛味種: 鷹の爪、ハラペーニョ、カイエンペッパーなど
甘味種: ピーマン、パプリカ、シシトウガラシなど

日本特産の品種としては、辛味の強い「鷹の爪」、辛味の薄い「八房トウガラシ」や「伏見とうがらし」などがあります。

栽培方法

トウガラシは高温を好み、日当たりの良い場所で栽培します。種まきは春に行い、夏から秋にかけて収穫できます。過湿に弱いため、排水性の良い土壌を選び、適切な水やりを心掛けることが重要です。

用途

トウガラシは主に果実を食用とし、香辛料や調味料として世界中で利用されています。また、薬用や防虫剤としても利用されることがあります。

食用:
香辛料：鷹の爪、カイエンペッパーなど
野菜：ピーマン、パプリカ、シシトウガラシなど
薬用: 食欲増進、消化促進、健胃作用
防虫: 衣装箱や米びつに入れて防虫剤として利用

栄養

トウガラシには、カプサイシン、カプサンチン、β-カロテン、ビタミンB1・B2・Cなどの栄養素が含まれています。カプサイシンは、血行促進や食欲増進などの効果が期待されています。

生産と消費

世界のトウガラシ生産量1位はインドで、中国がそれに続きます。日本は消費量の多くを中国からの輸入に頼っています。

近縁種

トウガラシ属には、キダチトウガラシ（島唐辛子、タバスコペッパー）、ハバネロなど、多くの近縁種が存在します。これらの品種は、辛味の強さや風味などが異なります。

まとめ

トウガラシは、その多様な品種と用途で、世界中の食文化に深く根付いています。香辛料としてだけでなく、野菜や薬用としても利用され、私たちの生活に彩りを与えてくれる植物です。

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