モラヴィア兄弟団

モラヴィア兄弟団について

モラヴィア兄弟団（Moravští bratři）は、共同体を基盤に教会を革新しようとする運動であり、特に敬虔主義の精神を大切にしています。ドイツではモラヴィア教会（Herrnhuter Brüdergemeine）として知られるこの団体は、主に信仰の自由を求めて迫害を逃れた人々によって構成されており、共通の体験や交わりを重視しています。

ヘルンフートの形成と歴史

1722年、ツィンツェンドルフ伯爵の領地に、フス派や敬虔派、アナバプテストの信徒たちが避難し、共同生活を始めました。この共同体は「ヘルンフート」と名付けられ、神の守りの下、互いに助け合いながら生活を築いていきました。当初、各地で迫害を受けていた信者たちは、それぞれの権利を主張し合い、しばしば対立も見られました。しかし、1727年8月13日の聖餐式では、参加者全員が聖霊の力を体験し、共同体の一体感が芽生え、財産を共有する共同体が誕生しました。1737年には、ニコラウス・フォン・ツィンツェンドルフがこの共同体の監督に就任し、組織の運営にも関与しました。

ジョン・ウェスレーとの関わり

モラヴィア兄弟団は、イギリスのジョン・ウェスレーに大きな影響を与えました。1735年、ウェスレーはアメリカへの渡航中にモラヴィア兄弟団の存在を知り、彼らと生活を共にしました。彼は航海中の嵐の中で冷静さを失わず、全員が神を賛美する姿に感銘を受けました。その後、ウェスレーはモラヴィア兄弟団の指導者シュパンゲンベルクに「イエス・キリストを知っているか」と問われ、深い霊的な探求を始めます。1738年にはアルダスゲイトで宣教師ペーター・ベーラーの説教を聞き、信仰の確信を得たことで、彼の人生における重要な回心の瞬間となりました。このように、モラヴィア兄弟団の信仰は後のメソジスト運動にも影響を与え、広がりを見せました。

世界宣教の活動

モラヴィア兄弟団は、1732年から本格的な宣教活動を始め、セントトマス島やグリーンランドへ宣教師を派遣しました。特に、ゲオルク・シュミットらが率いる一団は、18世紀から19世紀にかけて多くの国に宣教を行い、その成果を上げました。また、毎年発行される「日々の聖句」という聖句集は、宗派を超えて広く読まれ、多様な言語に翻訳されています。このように、モラヴィア兄弟団は、宗教的および文化的な枠を超えた国際的な影響を持つ存在となりました。

結論

モラヴィア兄弟団は、共同体の運営や信仰の実践において、教会の革新を志向する姿勢を持っています。彼らの歩みは、信仰の深化や他者との交わりを重視した運動として、今後も多くの人々に影響を与えることでしょう。

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