モルドレッド

モードレッドについて

モードレッド（Mordred）は、アーサー王伝説において極めて重要なキャラクターの一人であり、彼を取り巻くストーリーは多くの文献に登場します。一般的に、モードレッドはアーサー王に対する裏切り者として知られていますが、彼のキャラクターは一面的ではなく、武勇を持つ騎士としての側面も強調されています。

初期の記述

モードレッドについての最古の記録は、10世紀に書かれた『カンブリア年代記』に見られます。この中で、彼はアーサー王と共にカムランの戦いで戦死した騎士として描かれていますが、具体的な関係性や彼の役割については曖昧です。初期のウェールズ語の文献ではモードレッドは勇敢で名誉ある騎士とされ、後の裏切り者像は、ジェフリー・オブ・モンマスの創作による可能性が指摘されています。

ジェフリー・オブ・モンマスの影響

モードレッドの裏切り者としてのイメージは、1136年ごろに書かれた『ブリタニア列王史』により広まりました。この作品では、モードレッドはアーサー王の甥であり、彼の妹とロット王の間に生まれた子供と設定されています。物語では、アーサーがローマ皇帝との戦争中にモードレッドに国政を任せたものの、彼は反乱を起こし、王妃グィネヴィアを奪おうとします。この裏切りがアーサー王との壮絶な戦争へとつながるのです。

カムランの戦い

カムランの戦いはモードレッドとアーサー王の運命を決定づける重要な戦闘です。アーサーが戻ってくると、モードレッドは反アーサー勢力を集めており、二人の間には熾烈な戦いが繰り広げられます。最終的に、両者は貴族も多く犠牲にした熾烈な戦闘の末に壮絶な戦死を迎えます。この戦いではモードレッドもアーサーにとっての最大の敵となり、双方が致命傷を負い、王国に大きな悲劇をもたらしました。

モードレッドの家族と伝説

モードレッドには二人の息子がおり、彼らはサクソン人と共に抵抗を続けますが、最終的には新王に討伐されます。モードレッド自身は、その子たちと共に長く残る裏切り者としての存在が記憶され、アーサー王の伝説と共に語り継がれていきます。その後、彼の物語はイタリアを含む様々な地域に広まり、ダンテの『神曲』にも彼にまつわる描写が見られるのです。

結論

モードレッドはアーサー王伝説において多面的なキャラクターであり、勇猛な騎士でありながら裏切り者としての位置づけも持っています。彼の物語は、アーサー王の英雄的な試練と同様に、王国の運命を左右する重要な要素となっていったのです。モードレッドの存在は、アーサー王の物語をより深く、複雑なものにしています。

もう一度検索