カムランの戦い

カムランの戦い

カムランの戦い（またはキャムランの戦い）は、アーサー王の最後の戦いであり、その運命が象徴される重要な出来事です。この戦いについては、いくつかの歴史的な資料に記述が見られ、特に『カンブリア年代記』が最古の記録として知られています。戦いは西暦537年に起こり、「アーサーとメドラウトがカムランにて死亡した」との記載があります。ただし、この文献ではアーサー王とモルドレッドが敵として対峙したとは明示されていません。

その後の文献、特にジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王伝』では、アーサー王の遠征中にモルドレッドが反乱を起こし、彼を討伐しようとしたアーサー王が命を落とすという設定に変わります。この物語では、モルドレッドとの戦いの後、アーサー王は重傷を負い治療のためアヴァロンに向かうことになります。また、カムランの戦いはベイドン山の戦いから約20年後に起こったとされています。

カムランの位置については諸説あり、北サマセットのクイーンキャメルやキャメルフォード付近が候補として挙げられていますが、確定的な場所は不明です。「カムラン」という名称から、古戦場には「ねじまがった土手」が存在することが示唆されています。

開戦までの流れ

アーサー王は、忠臣ランスロット卿が反乱を起こしたことを受けてフランスへ向かいますが、その留守を狙ってモルドレッド卿が王権を簒奪します。この報を受けたアーサー王は急いでブリテンへ戻りますが、ドーヴァーで上陸した際、彼の親友ガウェイン卿が命を落とします。アーサー王がブリテンに帰還するとモルドレッド卿に王位返還を要求しますが、拒否され、両軍はカムランで対峙することになります。

その戦いの最中、アーサー王の陣営にガウェイン卿の霊が現れ、援軍を待つよう王に忠告します。この言葉に従い、アーサー王はモルドレッド卿に休戦を申し入れますが、両軍が緊張の中で和議に臨んだ際、毒蛇に噛まれた騎士が剣を抜いたことが引き金となり、戦闘が開始されます。

結末

激しい戦闘の結果、戦場に残るのはアーサー王と彼の忠臣ルーカン、ベディヴィア、そしてモルドレッド卿のみとなります。一騎討ちの末、アーサー王はモルドレッド卿を討ち果たしますが、彼自身も深手を負います。ルーカンはアーサー王を助け起こそうとしますが、自らも重傷を負っており力尽きてしまいます。死を悟ったアーサー王は、最後まで付き従ったベディヴィアにエクスカリバーを湖に投げ入れるよう命じます。アーサー王は剣が湖の乙女に返されたことを聞いた後、息を引き取ります。

伝説によれば、アーサー王はアヴァロンで傷を癒しているとも、いつの日か再び現れてブリテンを支配する運命にあるとも言われています。カムランの戦いは、アーサー王物語の核心にあたる出来事であり、その後の多くの物語や伝説の基盤を形成したとされています。

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