モロコシ

モロコシ（蜀黍、唐黍）

モロコシ（学名 Sorghum bicolor）はイネ科に属する一年生の穀物で、日本では「タカキビ」としても知られています。また、英語では「ソルガム」と呼ばれ、他にも「コーリャン」や「ソルゴー」といった呼称があります。特に沖縄では「トーナチン」という名称が使われることがあります。

原産と特徴

モロコシは熱帯アフリカが原産地とされ、エチオピアがその中心であると考えられています。紀元前3世紀からエジプトで栽培されていた記録があり、その後、アフリカ以外にもインドや東南アジア、中国などに広がりました。中国には950年頃に伝わったとされ、現代では「高粱」と呼ばれるようになりました。

モロコシは、乾燥に強い性質を持つため、イネやコムギなどが育たない環境でも栽培が可能です。実際、世界の穀物生産量ではコムギ、イネ、トウモロコシ、大麦に次いで第5位に位置しています。これにより、食用としてだけではなく、飼料や酒、デンプン、糖の原料としても広く利用されています。

特徴と栽培方法

モロコシの植物は通常、全長が3メートル以上に成長しますが、収穫の効率を高めるため品種改良が行われ、現在では約1.5メートルの低い品種も一般的です。植物の葉は1メートル以上の長さで、茎は太く、しっかりとした構造を持っています。モロコシの穂には多くの分枝があり、1つの穂に3,000個以上の小穂が付くこともあります。

モロコシは深根性であり、吸水能力が高いため、乾燥に強いだけでなく湿潤な環境にも適応可能です。ただし、完全な浸水環境では栽培ができません。栽培期間は早生だと70〜80日、晩生では150〜160日と多様です。日本では特に早生品種が好まれる傾向があります。

品種と利用

モロコシは、ビコロ、ギニア、カウダツム、カフィア、デュラの5つの基本種があり、用途によって穀物用、飼料用、糯モロコシ、糖蜜用などに大別されます。特に飼料用としての需要が高く、アメリカやオーストラリアでは主に牧草や飼料として利用されています。

また、伝統的に利用されているアフリカの地域では、粉にして料理に使うことが一般的で、特に「ウガリ」と呼ばれる料理は多くの人々に食されています。インドではロティというパンに加工され、その他の国でもさまざまな形で利用されています。たとえば、日本では団子や餅に使用されることがあり、健康志向から再評価されている傾向にあります。

生産と貿易

モロコシの生産は、アフリカ、インド、アメリカが中心です。特にアフリカでは、厳しい乾燥条件でも栽培が行われており、モロコシはそれでも重要な主食とされています。しかし、収量は他の穀物に比べると低いのが課題です。一方、アメリカでは主に飼料用として大量に生産されており、品種改良により収量や耐病性が向上しています。

また、モロコシの貿易は特色があり、アフリカ諸国は主に輸入国で、逆にアメリカやアルゼンチンなどは輸出国となっています。日本でも、一部モロコシが飼料として使用され、アメリカからの輸入が多く見られます。

利用と将来の展望

モロコシの使用は食用だけではなく、多様な加工食品や飼料、工業用のデンプン、糖の原料としても注目されています。最近ではその栄養価の高さから、再び健康志向の食材として見直される動きがあり、蓄積された栄養素の重要性が評価されてきています。これにより、新たな市場が開かれる可能性も秘めています。今後、モロコシがいかに活用されるのか、その展開が期待されています。

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